おばさんだって、覗きたい

 男性諸氏なら、もちろん覚えがあるだろう。

 駅あたりのトイレで用を足していると、当然のように掃除のおばさんが入ってくる。
 それこそ「引っ張り出している」最中の男どもの間を、何事もないかのように立ち回って、仕事をこなすわけだ。

 もしこれが性別が逆だったら――女子トイレを掃除のおじさんが徘徊するとなったら、それこそ大問題である。
 「すべての対称性の破綻には、差別の萌芽が隠れている」とすれば、やはりこれは男性差別だ、ということになるのだろうか?

     *

 だが、否。これはむしろ、女性に対する差別と、偏見の表われなのだ。

 女はあくまで、男の性の「対象」であって、性の「主体」ではありえない――きっとそんな古いジェンダー観の、いたすところなのだろう。
 女性には性欲などない。異性の性器を覗きたいなどという、下卑た願望はない。そういう前提で、世の中は動いているわけだ。

 もちろん、謬見である。
 思い出してもみたまえ。
 ジャニーズにキャーキャー言っている娘たち。韓流アイドルに血道をあげるおばさんたち。男性ストリッパーのパンツに札束ねじこんでいる、外国映画のブロンドたち。
 どれ一つを見ても、まるっきり欲望丸出しではないか。
 だとしたら女たちだって、やっぱり「覗きたい」にのにちがいないのだ。――

     *

 公衆便所で立小便している、しょぼいおやじのものなんて、覗きたいとは思わないって?

 だがそれを言うなら、男だって同じである。

 中年太りで三段腹のおばさんの、股ぐらになんかいささかも関心はないから、全然おあいこなのだ(笑)

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