<風俗店の詐欺商法「受話器はずっと上げたまま」>
たとえば午後7時の、予約(翌日分)開始の時間になるとする。
その直前に、なぜか店は固定電話の受話器を上げてしまう。
予約の電話をしようとした客の耳には、「プー、プー」という、お話し中を示す音声が聞こえる。受話器が上がっているから、通話中だ、と機械は判定するわけだ。
3分後、同じ客がまた電話を掛ける。まだお話し中だ。
ちょっと待てよ。
てことは、予約の電話が殺到しているわけだ。引きも切らない応対で、店はてんやわんやなんだ。
客がオレもオレもと押し寄せている、繁盛店なんだ。てことは、可愛い娘がそろっているにちがいない、と初めての客なら当然思い込む。
何のことはない。その間ずっと、店は受話器を上げているだけなのだ。
それが客の目には見えないから、激烈な予約合戦が起きているかのように、演出することができる。
今度からは自分も、他の客に負けないように。時計の時報とにらめっこしながら、午後7時ぴったりから、必死に電話を掛けてみよう。
――そう考える客が10人もいれば、今度は受話器なんて上げなくても、午後7時に電話が殺到する。
それからは本当の、予約合戦が始まるわけだ。……
かしこいねえ。頭は使いようだねえ。
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<風俗店の詐欺商法「時計の針は自由自在」>
風俗店の待合室の、壁にかかった大きな時計。
時計の針は、10分遅らせておく。
実際はもう4時10分で、とっくに案内予定の時間を過ぎているのだが、客の目には4時00分に見えているので、遅延がばれない。
時間ぴったりに案内されたと思っているから、客のいらだちを抑止できる。
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さて今度は女の子と遊ぶ、個室の置時計。
こちらは時計の針を、10分進めておく。
実際にはまだ4時50分なのだが、時計の針は5時00分を指している。
「まあ大変、もう5時。上がりの時間だわ」
とあわてたふりをして、いやな客を10分早めに、追い返すことができる。
「時短(時間短縮)」と呼ばれる、ありふれた手口だ。
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さて先刻の待合室と、今度の個室を通して考えてみよう。
この客は実際には、4時10分に案内されて、4時50分に追い出されている。40分しか遊んでいないのだ。
店の料金が60分3万円のシステムだとすれば、1万円分損をしているわけだ。
店の方から見れば、20分の時間を「浮かす」ことができた。
もし6部屋で6人の客が遊んでしたとすれば、掛ける6で延べ120分。
つまりは客2人分、部屋を「空ける」ことができたことになる。
「空いた」部屋に客を入れれば、6万円の増収となる。
そんなことを丸1日、たとえば12回転したとすれば、72万円が余分に懐に入るのだ。
かしこいねえ。頭は使いようだねえ。
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などなど。
とまあ、詐欺の手口を挙げだしたらきりがない。
続きはまたいつの日か(笑)
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