風俗店の詐欺商法「受話器・時計編」 

<風俗店の詐欺商法「受話器はずっと上げたまま」>

 たとえば午後7時の、予約(翌日分)開始の時間になるとする。

 その直前に、なぜか店は固定電話の受話器を上げてしまう。

 予約の電話をしようとした客の耳には、「プー、プー」という、お話し中を示す音声が聞こえる。受話器が上がっているから、通話中だ、と機械は判定するわけだ。

 3分後、同じ客がまた電話を掛ける。まだお話し中だ。
 ちょっと待てよ。
 てことは、予約の電話が殺到しているわけだ。引きも切らない応対で、店はてんやわんやなんだ。
 客がオレもオレもと押し寄せている、繁盛店なんだ。てことは、可愛い娘がそろっているにちがいない、と初めての客なら当然思い込む。

 何のことはない。その間ずっと、店は受話器を上げているだけなのだ。
 それが客の目には見えないから、激烈な予約合戦が起きているかのように、演出することができる。
 今度からは自分も、他の客に負けないように。時計の時報とにらめっこしながら、午後7時ぴったりから、必死に電話を掛けてみよう。

――そう考える客が10人もいれば、今度は受話器なんて上げなくても、午後7時に電話が殺到する。
 それからは本当の、予約合戦が始まるわけだ。……

 かしこいねえ。頭は使いようだねえ。  

               **

<風俗店の詐欺商法「時計の針は自由自在」> 

 風俗店の待合室の、壁にかかった大きな時計。

 時計の針は、10分遅らせておく。

 実際はもう4時10分で、とっくに案内予定の時間を過ぎているのだが、客の目には4時00分に見えているので、遅延がばれない。
 時間ぴったりに案内されたと思っているから、客のいらだちを抑止できる。

     *

 さて今度は女の子と遊ぶ、個室の置時計。

 こちらは時計の針を、10分進めておく。

 実際にはまだ4時50分なのだが、時計の針は5時00分を指している。
「まあ大変、もう5時。上がりの時間だわ」
とあわてたふりをして、いやな客を10分早めに、追い返すことができる。
「時短(時間短縮)」と呼ばれる、ありふれた手口だ。

     *

 さて先刻の待合室と、今度の個室を通して考えてみよう。

 この客は実際には、4時10分に案内されて、4時50分に追い出されている。40分しか遊んでいないのだ。
 店の料金が60分3万円のシステムだとすれば、1万円分損をしているわけだ。

 店の方から見れば、20分の時間を「浮かす」ことができた。
 もし6部屋で6人の客が遊んでしたとすれば、掛ける6で延べ120分。
 つまりは客2人分、部屋を「空ける」ことができたことになる。

 「空いた」部屋に客を入れれば、6万円の増収となる。
 そんなことを丸1日、たとえば12回転したとすれば、72万円が余分に懐に入るのだ。

 かしこいねえ。頭は使いようだねえ。

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 などなど。

 とまあ、詐欺の手口を挙げだしたらきりがない。

 続きはまたいつの日か(笑)

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