しろうと娘が純生ソープランドで働く理由

 ソープランドと言えば「最後まで」やる。「本番行為」を行う。風俗界の王様である。
 
 もとより過激な内容で売るわけだが、同じソープランドの中でも、サービスの詳細はさまざまである。
 たとえばその本番行為を、避妊具を付けて行うか。それともゴムは付けずに、そのまま「生(ナマ)」で行うか。

 後者の、より過激なタイプの店を、「NSソープ」と呼ぶ。
「ナマセックス」の略というのでは、あまりに身も蓋もないので(笑)、通例は「ノースキン」のことだと解釈している。

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 どうせそんなどきつい店で働くのは、覚悟を決めた「おあねえさん」だけだろう。
 あるいは普通の店では働けなくなった、「おばさん嬢」の吹き溜まりだろう。
 いずれにしても、 業界すごろくの最後にたどりつく、「上がり」みたいなもので、初心者が寄り付くようなところではない。

 そもそもしろうと娘が、ソープ嬢なんてやるはずがない。風俗業界に足を踏み入れるとしても、もっとソフトなジャンルを選ぶだろう。
 古い世代の人間なら、みんなそう思う。
「しろうと娘とナマでやれる店」なんて謳い文句を聞いても、眉に唾をつける。
 そんな詐欺商法にだまされてはなるものかと、必死に誘惑に抗してしまう(笑)

 だがひょっとしたら、時代は変わっているかもしれない。
 意外や意外、びっくりするような初心うぶな女子大生や、お嬢さんがそこにいるかもしれない。
 いつまでもそんな、昔ながらの石頭だと、せっかく目の間にころがっているすてきなチャンスを、みすみす逃してしまうかもしれないよ(笑)

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 そもそも売春そのものの、敷居がすっかり低くなった。
 もはやそれは過去の時代のような、飢餓やら人買いやらと結びついた、おどろおどろしい営みではない。 

 身体を駆使して金銭を得るのが肉体労働だとすれば、用いる部位はどこであっても、貴賤はない。
 それならば、もっとも割のいい種類を選択するのが、もちろん賢明な判断にちがいない。
 そんな永遠の真理に、もっとも頭の悪いはずの若い娘たちが、誰よりも早く目覚めたのだ。
 
 いまどきの若い娘にとって、体を売ることは楽ちんで、ずいぶんと割のいいバイトでしかない。
 援助交際とかパパ活とか、新しいおしゃれな呼称を頂戴して。そこにはもはや、かつてのような暗い影などいささかもない。
 ある意味股さえ開いておけばいいこの業界は、軽いノリで手軽に稼げる。自信をもって「いいね!」を押せる、友だちにもおススメのお仕事なのだ。  

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 NSに関して言えば、もっとも大きな要因は、低用量ピルの登場である。

 NSをするったって、いちいち妊娠しているわけにはいかないから(笑)、当然避妊薬は必須である。
 このピルという避妊薬が、以前の時代には、けっこうなきつい副作用があった。
 吐き気やら、頭痛やら、不正出血やらで。よほどの事情がないかぎり、気軽に手を出せるようなしろものではなかったのだ。

 ところが、今はどうだ。低用量ピルのありがたい発明によって、取るに足るような副作用はほとんど見られない。
 その結果、医師の方も多くの一般女性に、進んで処方するようになった。
 ご存じのように、ピルは単なる避妊薬ではない。月経痛を始め、生理にまつわるあらゆる困難を改善してくれる、魔法の薬なのだ。
 だとしたら、たとえばまだ処女の女子高校生が、定期的にピルを処方されて服用している――なんてケースも、けっして珍しいことではないのだ。

 て、ことはだ。いざNSソープで働くとなっても、新しいことなど何もない。
 ただ高校のときから常用している薬を、ただそのまま飲み続けるというだけだ。
 ハードルはすっかり低くなった。ちょっとばかり、低くなりすぎた(笑)
 サンダル履きのままでも、気楽に乗り越えられるような、ハードルになってしまったわけだ。

 (話は次回に続く)

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