世の中「逆転現象」とか、「裏目に出る」とかいうことがある。
たとえば、パソコンはスマホより高性能だ。
CPUもハイスペックなわけだから、同じ作業をするなら、普通はPCの方が速いにきまっている。
ところが株式投資やらで、デイトレードみたいなことをやっていると、ときどき奇妙な現象が起こる。
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何か突然、大きなニュースが飛び込んでくる。戦争やら大震災やらの、世の中がひっくり返るような事態だ。
当然相場は短時間で、一気に動き出す。
そんなときは、証券会社のサイトや、売買アブリがダウンしてしまう。半分フリーズして、いくらクリックしてもなかなか反応しなくなる。
それはそうだろう。
この世界には、自分のようなしょぼい個人投資家だけではない。何十億円という単位の金を動かす、大口のファンド(投資会社)がいる。
そいつらが最近は、「高速取引(注)」をする。大型コンピューターを駆使した、自動のプログラムで、一秒間で数千回もの売買を繰り返す。
そうなれば当然、取引量の急激な増大に、処理が追いつかなくなる。負荷に耐えかねたサイトが、ダウンするのも当然なのだ。
まあサイト自体がポシャっているというよりも、自分のショボいPCが、スピードについていけてないだけなのかもしれない(泣)
いずれにしても、とりあえず騒ぎが収まるまでの数十分は、指をくわえて見ているしかなくなる。
見ていると言っても、チャートの表示すら、ままならないことも多いのだが。
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だがしかし。
だがしかし、そんなときふと思い出す。
確かスマホでも、株の売買はできたっけ。
一応試してみるか、とスマホをいじってみると、何とこちらはまったく問題ない。
いつもと同じように、それなりにサクサクと、取引ができるのだ。
それもそのはずだ。
スマホ用の取引サイトは、PCのものとは別だ。取引アプリも、スマホ専用の仕様である。
そんなもの本腰入れて、使うやつなんていない。
外出中のヒマつぶしか、あるいは仕事中のサラリーマンが、トイレでこっそり見るくらいだ。
今回の元凶のヘッジファンドや、ましてや高速取引が、スマホを使うなんてありえない。
だから騒動の影響を、まったく受けずにすんだのだ。
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ふだんはスマホはのろまなカメで、PCは俊足自慢のウサギである。
だがしかしこんな奇跡のような、偶然の状況のもとでは、立場が逆転することもある。
そうだった。
今こそ確かに、カメはウサギに勝つことができたのだ。――
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