少子化って何?(2)    

 (話は前回から続く)

 そもそも地球全体、世界全体で見た場合。私たち人類が直面している「人口問題」って、一体何ですか? 少子化のことですか?
 もちろん、否だ。人口が増えすぎて、水も食料も資源も足りなくなった。環境にも負荷を掛けすぎている。そちらの方が、問題になっているわけだ。
 だとしたら少子化の傾向は、けっして嘆くべき新事態ではない。むしろ人類が長年抱え込んだ難題の、解決そのものなのだ。

 一般に、ある生物の種の全体が、何らかの危機に瀕したとき。
 その集団のそれぞれの個体が、なぜか申し合わせたように同じ方向に、――破滅を抑制するような方向に、行動の舵を取り始める。そんな不思議な現象があるという。
 あくまでも聞いた話だが、だとしたら現在いまの私たちの子供嫌いも、きっとそうなのだ。無意識理に、そんな原理が作用しているのでは、という気さえしてくる。

 だとしたら、政治家たちを悩ませる少子化とは、けっして人類史的なテーマではない。あくまで現代の日本の、社会構造の問題にすぎない。
 子供の数が減少すれば、将来の国の経済を支える、労働力が不足する。
 働き手がいなければ、税収も不足する。何よりも老人たちに支払う年金の原資は、若い世代から巻き上げてこそ確保できる。このままでは、そんなすべてのシステムが、破綻してしまうと焦っているのだ。
 だとしたら別に、子供を増やす必要なんかない。少子化に対応するように、制度の方を設計しなおせばいいだけだろう。

 具体的には、何をしたらいいかって? 
 挙げだしたらきりがない。そもそも地球全体では、人間が余っているんだ。人が足りないというなら、どんどん移民を入れればいいだけの話だろう。
 日本人の純血を守るとか、アホな保守派のたわごとなんて、クソくらえなのだ。
 年金制度にしたってそうだ。ベーシックインカムさえ導入すれば、年金なんて全然いらなくなると、
これまでも何度も何度も言っているじゃないか。(参照
 ひょっとして、みんなこのブログを読んでないのか?
 毎日一生懸命、書いているのに(泣)

     *

 この間テレビの街頭インタビューで、子供手当の所得制限に、反対している母親がいた。
 世帯収入は2000万だかなんかだが、それでも二人の子供を育てるのには、やりくりに苦労していると。
 そりぁお受験をして、私立の名門小学校に通わせて、高級ブランドコートを着込んで家族で食事に出かければ、金も足りなくなるわな。
 顔モザとは言え、公共の電波での発言で、空気読めないにもほどがあるだろう。

     *

 笑ってしまうのは韓国だ。

 「合計特殊出生率」というデータがある。定義はやっかいだが、おおざっぱに言えば一対(2人)の男女から、何人子供が生まれるかを示す数字だ。
 もしその数字が2なら、二人から二人が生まれることになり、人口はだいたい横ばいになる。
 その数字が韓国は世界最低で、0.78(2022年)になったらしい。
 一世代進むごとに、2人が0.78人に減ってしまう計算(0.39倍!)だから、国家の衰亡は火を見るよりも明らかだろう。
 もっとも日本だって最低に近い、1.30とか何かだから、よその国のことを言えた義理ではない。だからこそ岸田も焦っているわけだが、それにしても韓国の数字には笑ってしまう。

 こんな国に生まれてきたって、何の意味もない。絶対に幸せにはなれないと、国民がみんなわかっているから、誰も子供を産まない。生まれてくる子供が、かわいそうだからね。
 要するに少子化とは、国と社会に対する絶望感の表れであって、はした金をいくらばらまいたって、解消できるような問題ではないわけだ。

     * 

 もちろん個別の要因は、無数にある。だがおおむねは都市化が進めば進むほど、教育水準が上がれば上がるほど、少子化に拍車がかかる傾向にある。

 動物はその本能から、生殖に駆り立てられる。自然に子孫を残そうと、奮闘する。
 だが人間は都市化によって、動物的本能から遠くなる。教育によって、衝動よりは頭で生きるようになる。結果として、播種のむなしさに開悟するのだ。
 ここでも、日本で一番頭のいい男が、そう論じていただろう。(笑)

 何にも心配なんかいらない。
 いずれはAIロボットが、ほとんどの労働をまかなう。少子化を経た適正数の人間が、適正量の豊かさを享受する。そんな時代が、きっと来るんじゃないの。
 まあ俺は年齢的にも、もうすぐ死んじゃうから関係ない。
 どーでもいいんだけどね。

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