少子化って何?(1)

 岸田政権が少子化対策で、躍起になっているね。
 一生懸命お金をばらまこうとしているようだけど、的外れもいいところだね。

 みんなお金がほしいから、もらえるものはもらっておきたいというので、あれこれ要求しているようだけど。本当は、お金の問題じゃない。

 もちろん困窮世帯が結婚できない、子供を持てない傾向があるのはわかる。でもそんな状況を改善するには、それこそ100万単位で年収を底上げする必要がある。言われているような金額では、解決にはほど遠いね。対策と言うのなら、選挙対策にしかならない。

 そもそも一昔前には、食うや食わずの百姓が、10人近い子供を作っていた。今の時代の金持ちが、それほど子だくさんだという話は聞かないから、やっぱり原因は経済力じゃないんだ。
 もっと大きな、時代の流れのようなものがあるんだよ。

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 いにしえの多産の時代には、子供なんて産みっぱなしでよかった。飢え死にも病気もせずに、七五三を迎えられれば、お祝いだったわけだ。手もかからなければ、金もかからない。子育ての負担なんて、まるでなかったに等しい。
 そのうえ子供がいれば、家業を手伝う。老後の面倒も見てもらえる。労働力としても意味があった。産んでおいた方が、得だったんだ。
 兵隊さんになれば、お国のためにもなったわけだし。まあ避妊の問題も、あったんだろうけど。

 それに比べて今の時代は、子育てに手間をかける。金をかける。そんなものなくたって子供は育つわけだから、「かかる」じゃなくて、「かける」なんだ。
 子供に人並の暮らしをさせたい。そんな親の気持ちは、昔も今も変わらない。ただその「人並」の水準が、すっかり上がってしまった。
 こぎれいな恰好をさせて、キャラ弁も持たせてあげて。スマホもゲームも買い与えて。塾にも通わせ、大学まで行かせて。
 そのうえ親本人が、自分の楽しみをあきらめるわけでもない。なんで 我慢しなくちゃいけないの? 私だって海外旅行も行きたいわよ。おいしいグルメも食べたいわよ。
 そうなるとあとは単純な、割り算の問題になってくる。
 一人っ子で家族が3人なら、それぞれが年収の3分の1の、豊かさを享受できる。子供が二人増えて、5人家族になってしまえば5分の1。分母は少なければ、少ないほどよい。

 親としての幸せをかみしめる、というだけなら、子供は一人でも十分だ。将来の介護は介護保険で、子供は知らんぷりだから、子だくさんで得なことなんか何もない。
 個人の物質的な幸せを、何よりも優先する。
 そしてその幸せの基準が、すっかり上がってしまった。そんな価値観の変化が、少子化の根底にある。

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(話は次回に続く)

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