セーラー服(sailor suit)は、もちろんご存じだろう。
最近はブレザーに押され気味ではあるが、かつての女子高生の制服の定番。一部のマニアの男性の垂涎の的だったあれのこと――ではない。
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sailorは「航行する人」、つまり船乗りである。だからセーラー服は、水夫の着る服だ。
かつて19世紀の水夫たちは、「あの恰好」をしていた。(ただし上着のみ 笑)
きわめて古い世代の人なら、漫画のポパイの着衣を思い浮かべることができるだろう。
水夫の服装は、当然のことながら、やがて海軍の制服となった。
19世紀にはイギリスを皮切りに、世界の多くの海軍がセーラー服を採用した。たとえばわが国の、現在の海上自衛隊の制服もそれである。
一方水夫の服装をまねた子供服が、これもまたイギリスに始まって流行し、やがて女子学生の制服にも取り入れられた。
その海外ファッションを、日本の女子校も導入して、現在に至ったのだ。
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あくまでも水兵たちが本家本元なのであって、その逆ではない。日本の女子高生を、水兵たちがまねたわけではない。
そんな歴史の経緯を忘れてしまうと、とんでもない誤解を招くことがある。
天下のイギリス海軍が、女子高生のコスプレをした、変態おじさんの軍団に見えてきてしまうので注意されたい。
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