不思議の国のベースボール

 アメリカっていうのは、不思議な国だね。

 何しろ大リーグでは、大差でリードしているチームは、盗塁をしてはいけないらしい。
 もうとっくに勝敗は決しているのに、敗者に追い打ちを掛けるような侮辱行為は、けしからん。紳士にあるまじき非礼であると。
 正式のルールブックにはない、いわゆる不文律というやつだが、こいつを破ると「報復死球」という名の制裁を食らうらしい(こっちの方が、よっぽどけしからんと思うが 笑 )。

 それもずいぶんと、おかしな話である。
 それまで・ ・ ・ ・たとえば6点差をつけられたなら、それから・ ・ ・ ・6点を取り返すことが、論理的に不可能なわけはない。
 現に1イニングで6得点くらいするのは、記録上けっして珍しいことではない(NPB記録は15得点)。
 そもそも、もし本当に勝敗が決まっているのなら、試合はコールドゲーム(打ち切り)にすればいいだけの話である。

 そのうえもし、それでもマナー違反だというのなら、どうしてヒットは打っていいのか?
 ホームランを打って、「追い打ちをかける」のはかまわないのか? なぜ盗塁だけがやり玉にあがるのか?
 それもひとえにstera l (盗む)などという、不名誉な名前をいただいた連想からだろう。
 だかしかし、ただ恣意的につけられただけの名称に、振り回されて扱いを変えるのは、あまりにも理にかなわない。

 それでもどうしても、盗塁が卑劣なプレーだと言うのなら、ルールブックではっきりと禁止すればいい。
 それもしようともせずに(できるはずもないが)、そのうえわざわざ盗塁王なんていう、タイトルまで設けているのだ。
 それなのに、さも邪道なプレーように言いなすのは、まったく論理的ではない。頭が悪いとしか言いようがない。

 ま、どこかの国でも似たようなことはある。
 大相撲で、横綱などが変化をする(体をかわす)ようなことをすると、たちまち品位に欠けると批判を浴びたりするから、あまり他人ひとのことは言えないけどね。 

次回に続く)

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