「タイパ」重視の行き着くところ

 最近の若者はタイパ(タイムパフォーマンス)を重視する。
 時間効率の悪いことは嫌う。動画の視聴も、倍速にするとかは当たり前で、結末から最初に見ることもある。

 と言われているが、それは世代の問題というよりも、むしろ時代の風潮だろう。
 もはや老人の部類とされる、自分のような人間も、今では同じようなやり方をする。
 テレビの映画は録画しておいて、ネタばれサイトと見比べながら、飛ばし見をしているわけだ。

 さも嘆かわしい行動パターンのように言われるが、違うと思う。
 じっくり鑑賞するに、値しないコンテンツが、粗製乱造されている方が問題なんだ。
 くだらない番組を見るために、残り少ない人生の時間を、空費するわけにはいかないからね。

 くだらないと思うなら、見なければいい? それはその通りなのだが、いったん録画してしまうと、もったいないと感じる。ケチ根性が働いて、どうしてもあらすじだけは追ってしまうわけだ。

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『チコちゃんに叱られる!』という、NHKの番組がある。
 これがおそろしいほど、タイパが悪い。
 人気のクイズ番組なのだが、何と45分の番組で、クイズはたった3問しか出題されないのだ。

 あとはゲストや街の人の、珍答誤答を並べてみたり。得体の知れない再現ドラマみたいなものを、これでもかと流してみたり。とにかく思いっきり水増しをする。
 なめてんのか、と思う。
 クイズ自体は好きなので、一応毎回録画はしてあるが、いくら早送りしても次の問題が出てこない。それもそのはず、平均15分間隔なわけだから。

 その昔、『クイズタイムショック』(注)という番組があった。こちらは逆に、1分間で12問のクイズが、立て続けに出題された。
 あまりにもタイパがよすぎて(笑)、自分程度の頭では、とてもついていけなかった。
 一体あの番組を好んで見た視聴者は、どんな頭の構造をしていたんだろう? 
 自分より知能が高いということは、IQが200を超えていることになってしまう。(もちろん冗談 笑)

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――タイパが悪いからと、人生を早送りしちゃった若者……

 人生なんて生きていたって、たいていは、特にいいことなんてない。
 そのうちいつか何かあるだろうと、とりあえず早送りしていたら、THE ENDになっちゃった。

 タイパだけでなく、コスパも悪い。
 三度三度、めしを食わなくちゃいけない。一生通算したら、一体食費はいくらになるんだ?
 家賃も要るし、洋服だって着なくちゃならない。
 そんなコストをかけてまで、生きる価値のある人生なのか?
 リア充の上級国民ならともかく、 きっとぱっとしない、負け組のおまえらが?

「メリットがない」。これも若者の、常用の言葉らしい。
 そんな人生生きていて、何かメリットあるのか? カッタルイだけだろ。とっとと死んじゃえば?  
 とさんざん若者を小馬鹿にしておきながら、そのご指摘はそっくりそのまま、当の本人に当てはまることに気がついて慄然とする(泣)―― 

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