祝 生成AIに収集されました

 なにしろ「誰も読まないブログ」を、コンセプトにしたサイトである。
 ぺージビュー(PV)は当然、かぎりなく少ない。初期のころなんて、ゼロのときもザラであった。 

 ところがあるころから、ゼロの数字を見なくなった。どんな少ないときでも、必ず「2」となっている。
 たまたま同じ数字、というよりも、いつもきまった二人が来ているんだろう。こんなブログでも、根強いファンがいてくれるんだ、と思わずうれし涙を流したものだ(笑)

 いつの世にも、天才というものは理解されないものだが、わかってくれる人もいるんだ。世の中まんざら捨てたものじゃないと、心強く感じたわけさ。

     *

 しかしながらやがて、不審な点に気が付く。
 「2」の数字は、自分が投稿した直後には、もう付いているのだ。まるでその瞬間を、今か今かと待ち構えていたかのように。
 しかも投稿はたいてい、深夜の2時3時だ。熱心な読者が、自分の登場を楽しみにするあまり、一晩中寝ないでパソコンの前で待機している――そんなふうに考えるほど、さすがに自分はおめでたくはない。
 これはどう見ても、人間業じゃあない、と。

 人間業じゃあない――てことは、こいつは機械なんだ。何かがごく機械的に、自分のブログを覗いているにちがいない。
 だとしたら? ひょっとしたら、それこそが「あれ」なのかもしれない。

 近頃話題の、生成AIだ。
 ご存じのように生成AIは、膨大なデータを集積することで、初めてその機能をはたす。
 日本語の文章作成能力を獲得するためには、その基礎となるデータベースが必要だ。
 そのためにネットにころがってる文章を、勝手に、その出来栄えとは無関係に(!)、ただただ自動収集しているわけだ。

     *

 もちろん自分だって、そうでない可能性も考えてみた。
 たとかば「ブログ村」の運営者あたりが、あまり誰も読んでいないと参加者がかわいそうなので、お情けの数字を配ってくれているのかもしれないと(笑)

 しかしそう仮定すると、どうしても矛盾が生じる。
 自分の投稿は、だいたい2000字弱の長さだ。ところがあるとき、気まぐれで408字の短い文章を載せたことがあった。(参考
 するとなぜだか、このときばかりはいつもならすっ飛んでくるはずの、「2」の数字が現れなかった。その結果投稿のPVは、当分ゼロのままだったのだ(泣)
 運営者のお情けだとしたら、この差別はとうてい説明がつかない。

 その逆に、もしこれが生成AIだと考えたら、すべてはあまりにも理にかなっている。
 それはそうだろう。
 生成AIが学習したいのは、日本語の文章作法だ。集めているのは、あくまでそのためのデータである。あまり短いつぶやきのようなものでは、サンプルにもならないわけだ。
 ある程度の長さと段落構成を持ち、接続詞のようなものでつなげた展開がある――それが収集対象となる条件なのだ。

 そして自分のブログは、たぶん形式上、その基準を満たしている。
 まさか内容まではわからないもんだから(笑)、AIはその体裁だけで判断して、これはきっとお手本になるにちがいないと信じこんだ。それでこうして毎回、こつこつと訪問しているわけだ。
 まあ、こんなブログがお師匠にさんなるようじゃあ、もはや世も末だと思うが。

   *

 こうしてようやく、尻尾をつかんだ。
 深夜でもなんでも、瞬時に駆けつける。ストーカーのようにつきまとう、薄気味悪い「2人」は、実はAIだったわけだ。

 唯一の読者と思ったものが、実はただの機械だった。
 ということはこれは、やっぱり人間仲間は誰も読まない、「ぼっち」のブログなのだ。――
 そのことを知らされた自分は、ずいぶんと落ち込んでいるだろうか?
 ところがどっこい、まんざらそうでもない(笑)そんなことでは、全然へこたれないのが、俺のすごいところだ。

 だってそうだろう。AIの方が生身の人間よりはるかに頭のいい、高級な存在なのだ。有象無象どもに閲覧されるよりは、AIに読んでもらう方が光栄だ。
 上等じゃあないかこの野郎、と強がっているわけである。

 そのうえAIの訪問を感知したのは、ひょっとしたら自分が初めてかもしれない。
 それはそうだろう。
 もしちゃんと読者が付いているブログなら、そのPV数に紛れ込んだ「2」の存在に、気づくことはできない。
 本来の閲覧数がゼロだからこそ、あまりにも特異な「2」の動きを、察知できたわけだ。

     *

 いわば人類史上最初の、発見者となった。

 だとしたらそれも、ずいぶん大した勲章じゃあないか。

 それもこれも、みんな「ぼっち」のおかげだ。――と開き直りながら、これからもこうして、誰も読まないブログを書き続けていくわけさ。……

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