愉快なハンドパワーを伝授します

 友だちに、自分にはハンドパワーがある、とうそぶいてください。
 友だちを被験者にして、実演を行います。
 まずは、ハンドパワー(Ⅰ)です。

 ハンドパワー(Ⅰ)
1.友だちに指示を出して、以下のような態勢を取らせます。
「両手をしっかりと組んだ状態から、人差し指だけを伸ばして、突き出してみて」「二本ができるだけ平行になるように、構えてみて」 


2.あなたは「指がくっつく、指がくっつく」と念じながら、友だちにパワーを送ります。
3.そうすると、あーら不思議、平行だったはずの二本の人差し指が、本当にくっついてしまいます。

 たいていの友だちはこの結果に、「あー、本当だ」「すごーい、ハンドパワーだ」と、びっくりするはずです。

     *

 そこで今度は、ハンドパワー(Ⅱ)に移ります。

 ハンドパワー(Ⅱ)
1.友だちに、その場で床に片足で立つように、指示を出します。 


2.あなたは「体が揺れる、体が揺れる」と念じながら、パワーを送る仕草をします。
3.そうすると、あーら不思議(笑)、本当に体がぐらぐらと揺れ始めます。

 さすがにここで、友だちも気づく。
 すべてはバカバカしい、トリックなんだ。片足立ちなんていう、無理な態勢は、誰もそう長く続けられるものではない。体が揺れだすのは、当たり前なのだ。
 同時に、はたと膝を打つ。

 そうか。だとしたら、さっきの人差し指の実験も、同じ原理だったんだ。
 ああいう手の組み方は、身体的には不自然な態勢で、無理があるから続けられない。指がくっつくのは当たり前で、ハンドパワーは何の関係もない。
 物は言いよう、というやつだ。術者(あなた)のセリフで暗示にかかって、すっかりだまされてしまったんだ、と自らの軽信を笑うでしょう。

 だがもしも――もしも万が一ですよ、ここに至ってもなお、トリックに気づかない友だちがいたとしたら。
 片足立ちで体を揺らしながら、「本当だ、すごーい、ハンドパワーだ」とはしゃいでいるとしたら、彼女は相当知能程度に問題があります。
 今後はお付き合いするのは、控えておいた方が賢明でしょう。

     *

参考
<知能レベル判定表>
レベル4
――ハンドパワー(Ⅰ)の段階で、すでにまやかしに気づいて指摘する。
レベル3
――(Ⅱ)に至って気づき、かつ(Ⅰ)との相似性を発見する。
レベル2
――(Ⅱ)のペテンにはさすがに気づくが、(Ⅰ)との関連には思い至らない。
レベル1(ただのバカ)
――(Ⅱ)を経てもなお、だまされたまま、「すごい、すごい」を連発する女

*「バカの見本が、どうして女になっているのよ。ジェンダー・バイアスじゃない」と、誰かさんに嚙みつかれそうな例示である。
 私もその点を懸念して、客観性を担保をするために、サイコロでもう一度男女を決めてみた。それでもなぜか、何回振っても女になってしまうので、そのままにしておいた。別に他意はない。

 だぶんウチのサイコロが、ミソジニーなのでしょう。これからダイソーに行って、買い替えてきます(笑)

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