AI時代の棋士たち  

 2016年人工知能の「アルファ碁」が、囲碁のトップ棋士イ・セドル(韓国)を、4勝1敗で破った。
 チェス、将棋に次いで、知能ゲームで AIが人間に圧勝したのだ。

 そのニュースを聞いたとき、思ったことがある。 
 この新しい事態を、人間の棋士たちは一体、どう受け止めるのだろうかと。

     *

 プロ棋士と言えば――ましてや世界のトップ棋士と言えば、すべてのファンの憧れの存在である。
 それが機械相手に、まったく太刀打ちできない。手もなくひねられる、というのでは、沽券にかかわるというだけではない。
 そこまで棋士の権威が失墜しては、もはや素人相手に偉そうに先生ヅラして、指導碁を打つこともできない。プロとして、おまんまの食い上げになる。

 だとしたらプロたちは、ひょっとしてAIの排斥に、動くのではないか。
 囲碁は人間のスポーツだ。社会と歴史が育てた文化だ、とか言い張って、コンピューターの参入を拒絶する。
 AIとの公式な対戦を認めないとか。何らかの形で、少なくとも表向きは利用を禁じるとか。
 その存在と話題を、タブーとして黙殺する。
 あるいはひそかに、棒でPCをつつくとか、陰でこっそりAIいじめに走る(笑)

 かつて産業ロボットが登場したとき、人間の労働者に取って代わる、という議論があった。
 失職を恐れた肉体労働者が、導入に反対したわけだ。
 それと同じことが、知能ゲームの世界でも、あっても少しもおかしくはないのだ。――

     *

 だが、危惧したようなことは、まったく起こらなかった。

 それはただ、素直に敗北を受け入れた、というばかりではない。
 私心を離れて、AIに教えを乞う。師事することさえ始めたのだ。
 自分たちの求め続けてきたものが、そこにある。歩み続けたきた道の、行先が見える――それはまるで、真理の前で敬虔な科学者のように、身を処したのだ。

 そんな姿を見て、感動したね。何という純粋な、謙虚な連中だろう。
 みんな澄んだ目をした将棋小僧、囲碁小僧のまま、大人になったにちがいない。
 そこには、傲慢のかけらもない。俺とは全然、違うじゃないか(笑)

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 あれから7年が経った今も、彼らのそんなまっすぐな姿勢は、少しも変りはしない。
 私の賛嘆の気持ちも、同じままである。

 だとしたら、そのままずっと、きれいな心のままでいてね。
 AIカンニングなんか、しないでね。
 真相不明でお咎めなし、となったけど、まぎらわしい振る舞いは避けましょう。私も昔夜道をうろついていて、この人相のせいで、痴漢と間違えられました(泣) 

 マスク外しに、あんまりこだわったりしないでね。
 ずいぶん依怙地な、反マスクだなあ。あんまり自分の主義主張にこだわりすぎると、顰蹙を通り越して、物笑いになりますよ。
 そのうちギャクの、ネタにされますよ。昔の豊田真由子みたいにね(俺も話題が古いねえ 笑)。そうなったらもう、あなたは終わりです。

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 囲碁将棋って、本当にいいですね(笑)

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