日本男児はいつから劣化したか

 さだまさしが嫌いだ。

 あのロマンチックの、押し売りみたいな歌は、一体何なんだ。
 歌詞だけではない。
 いつから日本男児は、あんな世にも情けない、なよなよ声を出すようになったんだ?
 さだまさしからだろ、どう見ても。

 それからあの、トークがむかつく。
 しんみり聞かす詩人のボクが、一転ヨタ話で笑いを取る。そのギャップがいいでしょう? と言わんばかりじゃないか。
 だいたいギャップなんていうものは、自然に感じ取られてこそ、魅力となる。
 初めから、意外性を売りにする芸能人なんて、あざとすぎるだろう。

 確かその昔、「あなたが嫌いな芸能人」のワーストワンに、さだが選ばれたことがあった。
 それを知ったさだは、「なんでオレがワーストワンなんだ」と、激怒していたそうだ。
 そんなシャレさえ受け流すことができずに、目くじら立てるようなやつだから、嫌われるんだよ、オマエは。

 あいつはたぶん、自己イメージが、歪んでいるんだと思う。
 本当はワーストワンのくせに、自分はみんなから愛されるキャラクターだと、てっきり思い込んでいる。
 そんな認識の「ギャップ」が、たぶん諸悪の根源なんだろう。

 自分が嫌われるかもしれないと、わかっているやつなら、実はああまで嫌われはしない。
 それがまったく、わかっていない。
 そんな勘違いこそがさだまさしを、蛇蝎のように嫌われる、このうえなく不快な存在に仕立て上げているのだ。――

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