岸田再改造内閣の、顔ぶれが発表された。
女性閣僚の数が、過去最多タイの5名となった。
ジェンダー平等に配慮したと、首相本人はご満悦だが、世論は納得しない。
まだ半数にはほど遠いし、副大臣や政務官に目を転じると、何と逆に女性はゼロに減っていたからだ。
けしからん。平等原理に反する、と例によって男女二元論者(注)が、ジェンダーヒステリーを起こしてわめいている。
だがしかし、――
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人間の属性は、もちろん性別だけじゃあない。
年齢、貧富・階級、出身地、知能、体形、血液型……挙げだしたらきりがない。
そのすべての項目について、個々の差異が生じる。
年齢の違い、貧富の違い、出身地の違い……
もし性別について、完全平等を実現しろと言うのなら、それらすべての差異についてもまた配慮が必要となる。
何で20代、30代の、大臣がいないんだ? 障碍者もいない。
身長150センチ以下が、いないだろ!?(まあ、ちゃんと調べてはいないが)
IQ80以下もいない!!(まあ本当は、いるのかもしれないが 笑)
けしからん、差別だ、とわめくのだろうか。
すべての差異を、比例配分的に反映する内閣なんて、もちろん作れるわけもない。
その中で男女比だけ揃えろと、特別扱いするのは、道理にかなわないだろう。
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男女比が等しくなるように、人数を調整すること。これをジェンダー・クォータ制と呼ぶ。
フェミニストたちは、それを声高に要求しているわけだ。
だが先日、そんな「世論」の主張とは、矛盾する現象が起こった。
東京の都立高校の、男女別定員制が廃止となったのだ。(注)
男子130名、女子130名。――これまでの都立高校は、そんな形で男女別枠の選抜をしてきた。
もちろん、男女の生徒数を揃えるためだ。男女平等の教育に、配慮していたわけだ。
ところが、思わぬ事態を招いた。
この年齢の生徒たちは、おおむね女子の方が成績がいい。
純粋に得点順に選抜したら、合格するはずの優秀な女子が、女子130名の枠には入れずに、落とされたりする。そんな不条理が、起こり始めたのだ。
その逆にアホ男子が、男子枠に救われて合格になったりする。
けしからん、女子差別だ。実力本位主義にしろ。――という世論に押されて、来年度からこの従来の方法は、取りやめとなったのだ。
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だが、ちょっと待てよ。
この男女別定員は、まぎれもなくジェンダー・クォータ制である。
政治の世界では男女同数の、別枠制を要求するフェミニストどもが、いったん女子に不利とみるや、反対に転じているわけだ。
自分たちに有利か不利かで、立場を巧妙に使い分ける――そういう小賢しい、戦術ではない。
ただ単に、論理的一貫性を欠いているだけなのだ。
自分たちの主張の矛盾に、気づくだけの頭がないのだ。
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そんなことやっているから、女には知性が足りない、なんて言われちゃうんだよ。バーカ(笑)
(※女性が閣僚に選ばれない本当の原因は、そもそも女性政治家が少ないことです。その問題
については、ここで考察しています)
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