社会の中でも家庭でも、女たちは差別に苦しみ、踏みにじられて生きている。――
私たちはいつも、そう教えられてきた。
確かに、そうかもしれない。言われてみれば、そんな気もしないではない。
だがそんなとき、ふと素朴な疑問が頭をもたげるのだ。
それなら女たちは、なんであんなに長生きなんだろう。
男の平均寿命は 81.47 年、女の平均寿命は87.57年。この数値の差は、どこから来るのだろう？
普通なら虐げられた者たちは、ボロボロになって、早死にしていくものだ。
歴史の薀蓄を垂れるなら、アメリカの黒人奴隷の平均寿命は、３０歳程度だったらしい。
産業革命のイギリスでは、過酷な児童労働がまかり通り、リバプールの労働者の平均寿命は１５歳だったという。
そんなふうに苛まれ、重荷にあえぐ者たちは、力尽きて斃れていく。それが理屈なのに、なぜここでは、そうはならないのか？
わが国の女性たちは、こぞって長生きだ。近所のおばあさんの顔は、ずいぶん血色もよく、 生き生きと輝いて見える。
その逆に、あぐらをかいて威張っているはずの男どもの方が、なぜあんなにあっけなく、くたばっていくのだろう？
答えはただただ、永遠の謎である。――
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