沖縄の基地問題が、折にふれて議論になる。
県民の怒りはわかる。狭い沖縄に米軍基地の実に7割が集中しているというのは、いかにも不当に見えるのだ。
だがしかし、「日本の平和のために沖縄が犠牲になっている」と言うのを聞くとき、つい思わずにはいられない。
それでは「沖縄の平和は」、一体どうなってしまうのだろう?
現代の国際社会では、侵略もあまりあからさまには行われない。いきなり首都に攻め込んだり、 全土に爆撃を加えたり、というようなことはあまり聞かない。
辺境の国境地帯から、じわりじわりと、――
それはけっして、絵空事ではない。現に竹島は韓国に盗まれ、尖閣は中国に獲られた。
遠い無人島の出来事と、高をくくっていてはいけない。そうして少しずつ既成事実を積み上げながら、次第に内側へ内側へと、領土を蚕食していく形をとるのだ。
だとしたら次に狙われのは、もちろん沖縄である。
そのうえかつての沖縄、つまり琉球王国は、中国の朝貢国であった。
いわば中国の領土の一部であった島国を、帝国主義日本が奪い取ったのだ。だとしたらその植民地支配から、琉球の人民を解放することには、確かに大義がある。――
これが中国の一部で、ひそかに囁かれている「琉球解放論」である。
我々の耳にはどんなに暴論に聞こえようとも 侵略の口実とするにはそれだけで十分なのだ。
台湾のことが済んだら、次に魔の手が及ぶのは、間違いなく沖縄なのだ。
つまりは地理的にも歴史的にも、日本の国土でもっとも狙われているのは――否、唯一狙われているのは沖縄だった。
「日本の平和が脅かされる」と言うとき、その実脅かされているのはそっくりそのまま、「沖縄の平和」に他ならないのだ。
だとしたら、そんな緊迫の最前線に軍事が集中するのは、それほどの不条理ではないのかもしれない。
竹島は韓国に盗まれ、尖閣は中国に獲られた。北方領土は永遠に返ってこない。――
アメリカが睨みを利かしている今ですら、この有様なのだ。
ましてやもしその抑止力をなくしたとき、一体何が起こるのか、想像力を働かせることは絶対に必要である。
米軍は沖縄から出ていけ、と叫ぶのはやさしい。
だが米軍が去った後には、必ず遠からず人民解放軍がやって来る。
そんな未来を私は危惧しているのですよ。
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