薬物やって何が悪い

 なんで薬物をやってはいけないの? 心身を蝕むから? 身を滅ぼすから?
 わざわざお気遣いいただいて、どうもありがとう。ずいぶんと心優しい、ご親切なお方です。

 でもそれはあくまでも忠告と、助言の範囲での話だ。
 別に本人がすべてを承知の上で、好きで破滅を選んでいるのであれば。それに無理やり口をはさむのは、もはやただの余計なおせっかいだ。
 すべては自由意志の、自己決定。いちいち周りから、指図されるいわれはない。

 俺たちの、人権を踏みにじるな。
 これはしあわせになるための、お薬なんだ。ヒトがしあわせになる権利を、勝手に侵害してるんじゃねえよ。

     *

 古来麻薬がタブーとされた理由は、たった一つしかない。
 支配者にとって、それが都合が悪いからだ。

 ふんぞり返って、いい思いをしている王侯貴族にとって。奴隷やら百姓やらは、食うや食わずで必死に、働いてもらわなければならない。
 それなのに、麻薬なんぞにうつつを抜かされては、絞れるものも絞れなくなってしまう。

 現代になっても、事情は変わらない。
 大金持ちが甘い蜜を吸えるのも、健全なる労務者階級があればこそだ。
 もし彼らの身に万一のことがあれば、自分たちはもう、いい思いができなくなる。     

 だから為政者は、必死になって薬物を、遠ざけようとする。
 ただやみくもに取り締まるだけでは、身もふたもないから、親切ごかしにあれこれと「啓蒙」してくる。
 あいつらの言っていることなんて、ほとんどが嘘っぱちだ。
 まあ体に悪いのだけは、たぶん事実だろうが、自分の体を自分がどうしようが、俺たちの勝手だろう。

     *

 あいつらの言っていることなんて、ほとんどが嘘っぱちだ。――

 たとえば薬物が広まれば、社会が乱れる。凶悪犯罪が増えると言う。それも嘘っぱちだ。
 薬物には大きく分けて、「ダウナー(downer)」と「アッパー(upper)」がある。
 その名の通り、 ダウナーは神経活動をダウン(低下)させ、脳の興奮を抑える抑制剤だ。
 その代表が大麻で、これをやるとうっとりと、夢見心地になる。ひなたでまどろむ赤子のように、しあわせな気分にひたる。

 何せ活動が抑制されているから、面倒くさいことなんて、何もしたくない。
 仕事はおろか、日常生活さえかったるく感じるくらいだから、わざわざ犯罪なんかに手を染めようなんて、けっして思いはしない。
 みんないつだって、おとなしいものさ。だから大麻を合法としている国だって、枚挙にいとまがない。

     *

 問題があるとすれば、アッパーの方だろう。これは神経活動をアップ(高揚)させるものだから、要するに興奮剤だ。
 覚せい剤を打って興奮した人物が、誰彼かまわず刃物で切り付ける――そんなイメージが定着してしまったから、凶悪犯罪の引き金と指弾されているのだ。

 だがそれは、本当に「事実」なのか? 単に印象操作のために、捏造されたフェイクということはないのか? 
 麻薬を遠ざけたい支配者階級が――いわばディープステートが(注)、世論を誘導するためにそなんでっちあげで洗脳している。そんな可能性を疑ったことはないのか?

 確かに覚せい剤をやれば、舌はもつれる。言動は不審になる。でも少なくとも俺の知っている連中は、刃物を振り回したりはしない。
  K原だって、Tまさしだって、健太郎だって、ヒトを傷つけたりしてはいない。薬物以外の何かで、刑務所に入ったことはない。
 まあTは盗撮で、書類送検まで行っているが、あれはまだ薬物をやる前だ。時系列が違う。
 薬物のせいで、犯罪者になったわけではない。薬物をやる前から、もうちゃんと犯罪者だったのだ(笑)
 こと薬物に関しては、「誰にも迷惑をかけていない」。身を滅ぼした当人以外、被害者なんてどこにもいやしないのだ。 

     *

 インチキ野郎どもの、まやかし屁理屈を、次々と論破してやろう。――

 確かに薬物常用者が、凶悪事件を起こすこともある。
 だがそれを言うなら、薬物をやらない連中だって、いくらでも人を殺しているわけだ。
 前者の場合だけ、ことさらに「薬物」を強調することで、印象を操作してないか? ほらやっぱり薬物は怖いと、世間に思い込ませてないか?

 薬物使用者の犯罪率が、一般の犯罪率より高い? それってちゃんとした、科学的なデータでもあるの? あるならぜひ、見せてほしいものだ。
 たとえ万一、目の前にそれらしき数字を突き付けられたとしても、眉に唾を付けなくてはいけない。
 それはそうだろう。「薬物使用者の犯罪率」は、「薬物使用者の総数」が分母だ。そんな数値をどうやって求めるんだ。どうやって調べるんだ?

 おそらくそこで使われている数字は、「薬物使用がバレた者の総数」でしかない。つまりは氷山の一角で、本当の使用者はそれよりはるかに多いわけだから、実際の「率」もまたはるかに薄まっていくはずだ。
 そのうえその薬物使用は、どうやってバレたのか? 他の犯罪で捕まったときに、ついでに発覚するのがほとんどだろう。だとしたら「犯罪率」は、初めからかぎりなく100%に近づくような、詐欺的な仕掛けになっている。
 つまりはすべては、数字のトリック以外の何ものでもないわけだ。

     *

 彼らの用いる、詐術のような論法に、けっしてだまされてはいけない。――

 薬物を入手するために、犯罪を犯すやつがいる? 
 完全に、論理的に破綻している。
 薬物が違法とされているから、値段が跳ね上がっているんだ。だから購入資金を手に入れたくて、強盗を働くんだ。
 もし薬物が合法化されて、まるでコカ・コーラみたいに気軽に、自販機で小銭で買えるようになれば、だれもわざわざ犯罪なんて犯しはしない。
 当然、マフィアも暴力団も、出る幕はない。
 
 百歩譲って、もしも彼らの言う通り、薬物をやることが本当に、犯罪につながるのだとしても。
「犯罪を犯す可能性を高めるから違法とする」という論法は、あまりにも乱暴だ。それ自体は本来犯罪ではないことを、しっかりと認めているわけだから。まるっきり無茶苦茶なのだ。

 犯罪予備軍だから、刑務所に入れろと?
 そんなことを言うなら、あの例の責任能力のない方々は、一体どうなるんだ? どうみたって虞犯人間なわけだから、彼らこそ一生、鉄格子の向こうに閉じ込めておくべきだ――そういうことに、なるんじゃあないのか?

 等々。等々。
 だとしたら、一体薬物の、何がどう悪いんだ? 誰かとっても頭の悪いオレにも、よく分かるように説明してやってくれ。――

 

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