続・黒靴下の看護師たち 

 (前回の続き)

槍玉にあがっていた、他のルールについて。

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 たとえば、「看護服の上にカーディガンを羽織ってはならない」。

 全員が制服姿で、きびきび動き回る職場は、誰の目にも好ましく映る。患者にとっても、頼もしいスタッフと感じられるだろう。
 カーディガンは制服ではないから、着用すべきではない――というのが根拠だろう。

 たがもちろん、上着には体を冷やさず、看護師の健康を守る効用がある。
 そんな積極的な理由(実利)とはかりにかけたとき、単に見た目だけを気にかけるルールは、あまりにも軽すぎる。

 当然、廃止すべき。

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 またたとえば、「ナースステーションに飲料を持ち込んではならない」。
 飲食にはどうしても息抜きや、享楽のイメージがつきまとう。したがって勤務時間内に、職場ではけしからん、というわけだろう。

 だが飲食はそれ以上に、栄養と水分の摂取でもある。仕事をするには欠かせない、エネルギー補給の側面がある。
 飲料どころか、片隅でカロリーメートぐらいかじりながら仕事を続ける方が、よっぽどプロフェッショナルらしい。

 当然、廃止すべき。

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「髪の毛は明るくしてはならない」。
 看護職に限らず、こうしたルールを設ける職場は、多いのではないだろうか。

 確かに、容姿ばかりに気を取られている人間は、いかにも軽い。
 その逆におしゃれなどには一切かまわず、職務だけに打ち込んでいる、仕事のできるスタッフ――そんな印象を大事にしているのかもしれない。

 だがしかし髪の色は、靴下とは違う。
 職場でだけ取りかえる、というわけにはいかない。
 そうなればプライベートのファッション観にまで、踏み込んでしまうことになるから、やはり強要はNGだろう。

などなど。――

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