原爆落として何が悪い、ってアメリカ人の友人が言ってました。
もともと日本人が、真珠湾を闇討ちして、始めた卑怯な戦争でしょ。
ファシズムの狂信的な独裁国家と、民主主義の理念国家の戦い。いわば悪魔と神の戦いだ。
相手が滅びるまで、徹底的に叩きのめすのは当たり前だ。それが正義にかなっている。
「加害者であると同時に被害者でもある」なんて、詭弁でしかない。
日本人は百パーセント加害者だ。
人を殺して死刑になったやつを、「死刑の被害者」とは言わないだろう。
日本人に殺されたアメリカの兵隊や、捕虜の恨みはどうなるの? そんな同胞のために、報復を考えるのは自然でしょ。それで人情にかなっている。――
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広島と長崎で繰り広げられた光景を、知らないからだって?
そちらこそ、見た目の凄惨にだまされてはいけない。
確かに犠牲者の数はかぎりなく、見渡す限りの地獄絵だったにちがいない。だけどその中にいた一人一人の苦しみと無念は、機関銃で撃ち殺された米兵のそれと、何の変わりもないはずだ。
数が増えると、掛け算のトリックによって、悲劇は増幅されて見える。
だが実存において問題になるのは、「数」ではない。
通常の戦争だって、皮ははがれる。内臓は飛び出す。それは被爆地だけではない。どこの戦地でも、今現在だって当たり前に見られる光景だ。
ただ日米安保に守られたお花畑の住民たちが、そのことを忘れている。80年前の、過去の歴史のことだと、思い込んでいる。
今のこの時代だって、自由のために戦うアメリカの兵隊さんたちは、まったく同じ地獄絵を目の当たりにしているんだよ。
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すでに勝敗の帰趨は決まっていたのに、追い討ちをかけたのは非道じゃないか?
ちょっと待ってくれ。
もう勝ち目なんかないのに、いつまでも降伏しなかったのは、どこのどいつだ? 往生際が悪く、優柔不断で、いつまでも責任を押し付けあっていたみっともない連中こそ、鏡を見ながら反省すべきなんじゃあないのか?
日本が最新兵器の、実験に使われた?
それだって別に、中立国を相手をにやったことじゃない。
交戦国との戦いの最中に、ついでに実験も手掛けたとしても、一体何の問題があるんだ。
人類を滅ぼしかねない、おそろしい兵器だって?
それだって単なる、文学的な感傷だと思うよ。
別に出刃包丁だって、100億本もそろえれば、人類くらいいつでも滅ぼせると思うしね。
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罪のない民間人を、大勢巻き込んだのは、人道上許すことはできない。日本人はアメリカに対して、
けっしてそのようなことはしなかった?
それはその通りだが、それは別に日本人の、騎士道精神じゃない。ただ単にアメリカ本土まで、飛行機が届かなかった、ということにすぎない。
そんな物理的な制約がなかったら、卑劣な日本人は、もっとずっとひどいことをやったと思うよ。
だって実際、君たちがアジアでやったことを見てごらん。重慶をさんざん空爆(注)し、南京では歴史に語り継がれる、残虐非道に手を染めた日本狗(注)のことを、まさか忘れちゃあいないよね――って、中国人の知人が言ってました。
いろいろな友人がいろいろなことを言うので、一体何が本当に正しいのか、自分にはもうわからなくなってしまいました。――
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(注-1) 原爆投下直後の1945年8月、米ギャラップ社が世論調査を行い、「日本への原爆使用を支持するか」と尋ねると、米国人の85%が「支持する」と答え、「支持しない」はわずか10%だった。
一方、2015年に行った世論調査では、56%が「正当だった」と回答。「正当ではなかった」は34%だった。
(朝日新聞7/31日 改文あり)
(注-2) ついでに直近では、「バービー」の海外公式アカウントの、こんな投稿が物議を醸した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/6dc72dcc751c47c98ba2f2da2e6aa6cb40ab70d1
これが社交辞令を除いた場合の、アメリカ人の 肌感覚というわけだ。
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