nightingaleという英語をご存じだろうか。
大文字でNightingaleと綴れば人名である。中でも有名なのはフローレンス・ナイチンゲール(Florence Nightingale )、つまりはあの伝説の看護師「ナイチンゲール」のことだ。
一方普通名詞としてのnightingaleは、通例サヨナキドリと訳される、鳥の名前である。
鳥の名前がそのまま名字だなんて、と訝ってはならない。日本にだって動植物に由来する人名は、枚挙にいとまがいない。
鳥にかぎっても「鳥飼」しかり、「鶴田」しかり、「鳩貝」しかりという具合だ。
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昔英語のテキストに、この鳥についての英文が載録されていた。
nightingaleはその名の通り、夜にいい声で鳴く。つまりnight(夜)+in+gale(古英語の「歌う」の変形)という語源だ。その美しい鳴き声ゆえに、日本のウグイスに比せられる……などなどと書かれていた。
自分は英語の講師だったので、一通りの解説をし、和訳もつけた。
ところが授業の終わりに、ある男子生徒が教壇に上がってきて、こう質問したのだ。
――先生、このnightingaleって、あのナイチンゲールのことですよね?
講師が唖然としたのは言うまでもない。
授業を聞く前ならまだわかる。大文字と小文字の違いだけなんだから、ぱっと見では間違えることもあるだろう。
だけど今、授業を聞いたよね? 和訳をしたよね? どこに看護婦さんの話があったんだい?
もちろん口に出しては言わない。表面ではやさしく諭して帰しながら、心の中では何てバカな生徒だろうと、呆れかえっていたものだ。
そしてこれもまた、けっして口に出しては言えないが、心中こうツッコミを入れていたものだ。
――あのナイチンゲールが、夜いい声で鳴くか?! エロ小説じゃないんだから!
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あのナイチンゲールは、ヨガり声なんか上げなかった。
生涯独身を貫き、おそらくは性交渉の経験もない。
センズリさえ、こいたことはなかった。
何でそんなことがわかるのか。見てきたようなことを言うな、って?
もちろん見て確かめたわけではないが、状況証拠的に事実は明らかである。
何しろ彼女のワーカホリックぶりときたら、完全に常軌を逸していた。
語られるところによれば、
「彼女は24時間ぶっ続けで立ち働いた。昼は怪我人につきっきりで看病し、夜には傷ついた兵士たちの元へ灯りを持ち、何千人という患者たちの見回りを行った。
戦場では時に馬上で何日も過ごし、時に何十キロ先の小屋まで歩いて仕事をしたこともある。
体力の限界がきて熱病にかかっても無理して働き、完全に動けなくなってもメモなどを書いていて、そのせいで神経組織を破壊され、心臓も弱まっていったが、それでも彼女はずっと働き続けた。
(このサイトより引用)
という有り様だったのだ。
もうほとんど狂気の沙汰だ。文字通りわが身を神に捧げ、看護のために命をなげうった。
そのうえもし夜にはセンズリまでこいていたとしたら、もう超人の域を通り越して、まるっきり化け物だろう(笑)
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ちなみに「ナイチンゲール」という名は、「チン」が「ない」と聞こえる。つまりは、ご本人もそうだったように、女のことだ。
一方、国名の「アルゼンチン」は、「チン」が「ある」だ。こちらは男だということになる。
そこでこんな春歌が生まれたのだが、いかがなものであろうか?――
ナイチンゲールとアルゼンチンが
一緒にベッドに入ったら
もうやることは一つしかない♬
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まったく関係ないが、片岡鶴太郎は毎日深夜1時から、4時間かけてヨガの修行に取り組んでいるそうだ。(注)
真夜中にヨガっているのだ。
声は出さないそうである。真夜中にヨガり声では、ご近所の顰蹙を買うからである(笑)
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<補注>
本文中に「センズリ」という表現を使った。
しばしば誤解されているが(注)、これはけっして男性専用の言葉ではない。
女性の自慰を語ることがずっとタブーであったために、あまり女性に対しては用いられなかった。ただそれだけで、もちろん「千回こする」のは男性ばかりではない。
というよりも一般男性はふつう、千回はもたない(笑)
江戸時代の文献に「さねせんずり」という用語が出てくる。
「さね」とは果物の種/核のことで、陰核を表わす俗語である。
「さねせんずり」もせんずりの一種であり、当然のことながら、女性たちがもっぱらこれを行う。――
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