アメリカっていうのは、不思議な国だね。
何しろ人殺しのための道具が、街中(まちなか)で普通に売られている。
あれだけ乱射事件の被害者が出ても、一向に銃規制は進まない。
それはそうだろう。何を隠そうアメリカの憲法 自体が(修正第2条)、銃所持の権利を保証しているのだ。
その心は、「抵抗権」だ。
いわく国家が暴政を行ったとき、市民はこれに力で対抗する権利があり、そのときのために銃を備えることが必要なのだ。――
そうした理念も、歴史の背景を考えれば、理解できなくもない。
ご存じのようにこの国はかつてイギリスの植民地であって、英政府の圧制と戦って、ようやく独立を勝ち得たわけだから。
だがそれは、あくまで18世紀の話である。
そのころなら確かに、政府は銃を突きつけて市民の自由を脅かした。だからこそ銃をもった抵抗が、意味があったのだ。
だが今や時代は21世紀、そんなおとぎ話は、もはや笑い種でしかない。
国家権力は、途方もなく強大である。
警察レベルの装備も桁違いだが、もし軍隊まで出動するとなれば、それこそ戦車だって爆撃機だって、何でもそろっているのだ。
しょぼいライフルを抱えた市民兵が、いくら集まったって、抵抗権もへったくれもあったものではない。
そんな時代錯誤の滑稽に気づかずに、誰もが銃に固執している――もちろんすべては、ひとえに武器商人(全米ライフル協会)たちの、巧みな洗脳のおかげである。
彼らは憲法を盾に、弁舌巧みに屁理屈を並べ立てるのだ。
「殺すのは銃ではなく人だ」「もし被害者たちが銃を持って応戦していれば、犠牲はもっと少なくてすんだだろう」――
かくしてアメリカ人たちは、世界一のハイテクに囲まれながら、隙さえあればドンパチと殺しあう、西部劇の時代を生きているのだ。
まったくもって、お笑いである。
もちろんそんな不条理に、気づいている人もいる。
乱射事件の折節には、彼らは確かに規制を叫ぶ。
それでも憲法改正にまで、踏み込む者はけっしていない。そんなことをしたらたちまち暗殺られてしまうのを、知っているからね。
アメリカっていうのは、怖い国だね。
ま、どこかの国でも似たようなことはある。
憲法9条なるおとぎの時代の遺物を、相も変わらず崇めたてまつる方々もいたりするから、あまり他人のことは言えないけどね。
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