少し前に問題になった。
「 トー横キッズ」と呼ばれる10代の少女たちが、大久保公園あたりで「立ちんぼ」をしていると。(注)
すなわち路上売春である。
そのとき例によって、フェミニストのオバちゃんたちが噛みついた。
「なぜ売春をすると女性ばかりが責められて、相手となった男性は処罰されないの!?」
今回はちょっと、そのあたりの論点を整理しておこう。
*
まずは誤解しないでほしい。
金銭をやりとりして、性的関係を結ぶこと自体は違法ではない。
たとえば月100万のお手当をもらって、男の愛人となる。世間ではどう呼ぼうと、それは法律の禁止するところの「売春」ではない。
それはそうだろう
女は働いた分だけお金をいただく。立派な肉体労働で、何の問題もない。
男は満足のいくサービスを受けて、お礼に料金を払う。当たり前の消費行動でしかない。
*
売春防止法が禁止するのは、あくまで「不特定多数に」体を売ることだ。
つまりは取っかえ引っかえ、見ず知らずの男を相手にすることが違法なのだ。
そのうえ、興味深いことがある。
たとえば ソープランドが、売春で摘発をくらったとする。
違法行為を行った従業員の女の子は、もちろん「指導」はされる。だがけっして、刑罰を課されることはない。
実際に刑務所送りになるのは、売春を仕切っていた経営者だけなのだ。
つまりは法律が処罰するのは、売春の「ビジネス」だ。
手広く客を募って、日常的に金儲けにいそしむような主体を――売春組織の存在を厳しく取り締まっているのだ。
*
考えてみてほしい。犯罪と呼ばれるものには、元来二つの種類がある。
一つは殺人や窃盗のような、明らかに人倫にもとる罪だ。
人として絶対にやっちゃいけない。そんな種類の非道な行いである。
これはとってもわかりやすい。だが一方で、もっと微妙な犯罪もある。
たとえば「公然わいせつ罪」はどうだろう? そもそも人類はサバンナを、素裸で歩き回っていた生き物である。裸体をさらすことが人道に反する、と主張するはどう見ても無理がある。
ただスッポンポンの異性にウロチョロされては、こちらもそわそわしてしまう。心安らかに日常生活を営めなくなる。
そのうえ、外人さんが見たらどう思うか? 未開の野蛮人とみなされて、国の恥になる。
それではさすがにまずいだろう。――というわけで、性器の露出は一応違法ということにした。
いわばそれは、文明社会の体裁を保つための方便のようなもので、絶対的な道徳上の罪とは違う。
売春もまた、それと変わらない。公然わいせつと同じ程度の、体面上の罪でしかない。
誰にも迷惑をかけているわけでもないから、やるなとは言わない。たたちょっとみっともないから、なるべく目立たないように、ひそかにやってくれと。
大っぴらに、ビジネス展開なんかをされたときには。お上もさすがにもう放っておきませんよ、というわけだ。
*
で、立ちんぼはどうなのかと言うと、――もはやおわかりだろう。
立ちんぼは、広く声を掛ける。たとえ無言であったとしても、仕草と表情で不特定多数の男を誘う。
要するに営業をしているわけで、かのソープランドの経営者がやっていることと、その本質は変わらない。ただこちらは、個人事業主だというだけの話だ。
だから処罰されるのだ。
風紀が損なわれる。男たちが始終発情してしまい、社会の安寧が損なわれる。
外人さんが見たら、汚らわしい国だと思われる。
だから取り締まるのだ。
一方客になる男の方は、そのような罪科には該当しない。ただ女の営業にたぶらかされて、ふらふらと吸い寄せられただけなのだ。
だから売った女は逮捕され、買った男はお咎めなしとなる。――それはあくまで売春防止法の、本来的な趣旨によるものだ。けっして女性差別などと、呼ばれるような筋合いのものではない。
それが証拠に、もし男娼に声を掛けられて、女が男を買ったとしたら。今度は男が逮捕され、女はお咎めなしとなる。
そこにはちゃんと、完璧なまでの対称性が存在する。まるで男女平等のお手本のような、立派な法体系が整備されているのだ(笑)――
コメント