風俗店の詐欺商法――電話で店名は名乗らない

 もしどこかから電話がかかってきたら、相手を待たせないように電話に出る。
 そして「はい、〇〇でございます」と、まずこちらから名乗る。

 個人の場合でも、それがマナーだ。
 もっとも最近は、特殊詐欺とかも多い。無作為に電話を掛けてくるような、連中もいる。
 そのための用心に、名乗らずに出る人も増えたようだ。

 だかビジネスの場合は、100%間違いない。当然の社会常識だろう。
 商売だろうが企業だろうが、それもできないようなところは、社員教育がまったくなっていない。
 たちまちNGとされる。

     *

 だが風俗店の場合、特に無店舗型(派遣型)の店の場合には、名乗らないところが多い。
 客の電話を取ると、ただ「はい?」とだけ答える。

 当然続くはずの名乗りがないので、客が面食らって黙っていると、
「もしもし?」と畳み掛ける。

 根負けして客の方が、
「『セーラー服きゃぴきゃぴ娘』ですよね?」(笑)と、店名を確認する。するとおもむろに、
「はい、そうです。セーラー服きゃぴきゃぴ娘です」と、ようやく店名を白状する(笑)

 やっぱりこんないかがわしい店は、まともな人間を雇っていないんだろう。
 と、普通はそう思う。ところがどっこい、そうではない。
 むしろこれがマニュアル通り。最初からそう応対するように、教育をしているのである。

 その理由はただ一つ。店名を名乗りたくても、名乗れない。
 同じ電話番号で、複数の風俗店を運営しているのである。

     *

 よく「共同オフィス」なるものがある。
 たとえば社長一人だけで、会社を起こしたばかりのスタートアップ企業などは、自前のオフィスを構える資金がない。
 したがって共同オフィスの中の、机一つ分だけを賃貸する。
 固定電話を引いて、事務員を雇う余裕もないので、複数の会社で共用する形を取る。

 だがくだんの風俗店の場合は、それとは違う。
 本当に同じ1人の経営者が、一本の電話で、複数の看板を掲げて営業しているのだ。
 たとえば、風俗誌の広告を見てみる。
「セーラー服きゃぴきゃぴ娘」「パンストOLの楽園」「奥様むんむん」(笑)
 様々なコンセプトの、遊びが用意されている。

 だがしかし、蓋を開けてみたらその3つとも、中身は実は同じ店だったりするのだ。
 経営者が同じ、というだけではない。そろえている女の子も同じだ。
 ただ今のその客が、どの広告に引っかかったか――それに合わせて、同じ女の子が違う恰好をして派遣されるわけだ。
 セーラー服やら、パンストやら、裸エプロンやら(笑)
 ただそうして看板を付け替えることで、多種多様な客の好みに対応できる。
 間口を広げることで、それぞれの嗜好に合わせて、スケベおやじが誘導されていく。

 それは単に、プレイスタイルだけではない。
 同じセーラー服ごっこが好みでも、たまには別の店を開拓してみるか。また違うタイプの、女の子もいるかもわからない。
 そんな浮気心から、今日は「セーラー服きゃぴきゃぴ娘」はやめにして、新しくできたらしい「放課後クラブ」とやらに電話をしてみる。
 ところがいざホテルに現れたのは、先週「きゃぴきゃぴ娘」で呼んだのと、同じ娘だったりするわけだ。

     *

 客はまたしても、一杯食わされた。

 だがしかし。
 だがしかし、いつまでもそうして、だまされっぱなしなわけではない。
 さんざん痛い目にあえば、やがて業界の裏事情を学習する。
 中にはそんな店のやり方を逆手に取って、意趣返しに成功するヤツも現れるのだ。

 たとえばこちらの店とそちらの店は、実は同じだとわかる。
 両者のホームページを見比べれば、女の子の対応関係もわかる。
 もしも初め、「きゃぴきゃぴ娘」のラブちゃんに入ったとする。気に入ったのでまた入りたいが、2回目からは本指名料と称して、1万円余分にふんだくられる。
 そこで今度は、「放課後クラブ」のアイちゃんを選ぶ。
 実はこの2人は同一人物なので、実質は本指名だ。だがあくまで別の店の、別の子という建前なわけだから、料金を請求されることなどもちろんありえない。

 こうして虎の子を一万円を、まんまと節約することができたのだ。
 どうだい、頭いいだろ。
 みんなで尊敬しましょう(笑)

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