NHKの受信料徴収は不条理ではないのか

 NHKが近年、未払い受信料の徴収を強化している。
 民事による財産の差し押さえも辞さない、強硬な姿勢だ。

 本来の料金だけではない。遅滞の罰金として、その二倍の金額が加算される。
 個人ももちろん痛手だが、全客室にテレビを設置するホテルグループは悲惨である。最高19億円支払った事例もあるという。(注)

 そんなニュースを聞いて、例によってSNSが激怒している。

勝手に電波を飛ばしといて「受信できる環境だから金払え」は悪どい商売だ。他の有料チャンネル(スカパーなど)のように、見たいヤツだけが料金を払って見る。スクランブル化(注)が急務である……

などと。

だがしかし、――

     *

 NHKはスカパーとは違う。商用サービスではない。放送ビジネスではない。
 文明国家たるものが、きっと一つは必要とする「公共放送」なのだ。

 国民の統合のためにはなくてはならない、共通の文化を――知識と情報の基盤を提供する。
 あるいは政見放送を流したり。子どもたちのための教育番組を作ったり。NHKじゃなくて、一体どこがやるのか?
 民放は視聴率と、提携企業の顔色をうかがって、時流にひたすらおもねるだけだ。到底この役割は任せられない。

 それはいわば、義務教育の延長だ。学校を卒業した大人たちに、一流国の構成員としての、たえずアップデートした素養を授ける。そんな理念のもとで、すべてが運営されている。
 SNSと軽薄短小の民放しか見ない低級な人間は、本来わが国にあってはならない存在なのだ。

「自分は見ないから払いたくない」という理屈は成り立たない。市民の義務なんだから「見るべき」なのだ。
 もちろん見なくたって罰則はない。だがその場合も、少なくとも受信料は払う。そうすることで制度を支え続けることに、やぶさかであってはならない。

     *

 たとえば国宝や文化財の保護のために、多額の公金が支出されている。
 日本民族の伝統と誇りを守るために、それはなくてはならない事業だからだ。
 それなのに、

オレは昔の文化なんか関心がない。
そんなものに大切な税金を使うな。クラウドファンディングか何かで、見たいヤツだけから金を集めればいい。

と主張する者がいるとすれば、非国民のそしりを免れない。あるいはただのバカなのかもしれない。

 NHKがやろうとしているのも、それと同じことなのだ。――
 あるいは天皇家や皇室の保持のために、気の遠くなるような税金が投入される。これに文句を言う声もあまり聞かない。
 日本国の象徴なのだから、いくら金がかかっても守り抜かなくてはいけない。それがコンセンサスになっている。

 NHKだって同じことだ。
 「受信料は払いたくない」なんてほざいている連中にかぎって、万世一系の皇統を称えるネトウヨだったりする。
 だとしたら、彼らの言葉を借りてこう言ってやりたい。
「受信料を払いたくないのなら、この日本から出て行け!」
ってね。

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 公金が必要なら税金でまかなえばいい。国営放送にすればいい、と言うかもしれない。

 それならばまず、一つ確認しておきたい。
 税金に切り替えれば、受信料を払わなくて済む? そんなふうに感じるとしたら、はなはだしい錯覚である。
 税金を払うのは、他ならぬ国民自身だ。だとしたら国営にしたところで、われわれの懐から金が出て行くことに、何の変わりもないはずだ。

 そのうえ国営放送だと、時の政権とべったりの関係になってしまう。忖度ぐらいならともかく、それこそ「大本営発表」にもなりねない。
 民主国家のインフラとしての、公正中立な目配りなど望むべくもない。

 歴史的に考えてもそうだ。
 NHKの創設当時は、まだ高額だったテレビを買えない世帯も多かった。
 広く税金を用いれば、彼らからも放送の費用をふんだくることになる。さすがにそれは気が引けたのだろう。
「テレビなど放送を受信できる設備を設置した者」から料金を集める。そんな現在のやり方は、実はけっこう理にかなっていたのである。

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 そもそも「NHKは見ない」なんて言っている連中は、食わず嫌いなんじゃないかな。
 お堅い放送局だから、番組もきっとつまらないのだろう、とすっかり決めつけている。

 もちろん内容を理解できない、低能者である可能性は排除できない(笑)だがそうでもないかぎり、きわめて良質な文化的娯楽を享受できる。

 自分のこのブログなんて、ネタの半分はNHKから拾っている。
 試しに以下の人気投稿を読んでごらん。
  女子刑務所の「性」事情
  続・女子刑務所の「性」事情

 実はEテレ(NHK教育)こそが、民放のどんな深夜番組よりも充実した、エロネタの宝庫なのだ。
 そのことに誰よりも早く気づいた自分は、つくづく勝ち組だと思う(笑)――

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