NHKが近年、未払い受信料の徴収を強化している。
民事による財産の差し押さえも辞さない、強硬な姿勢だ。
本来の料金だけではない。遅滞の罰金として、その二倍の金額が加算される。
個人ももちろん痛手だが、全客室にテレビを設置するホテルグループは悲惨である。最高19億円支払った事例もあるという。(注)
そんなニュースを聞いて、例によってSNSが激怒している。
勝手に電波を飛ばしといて「受信できる環境だから金払え」は悪どい商売だ。他の有料チャンネル(スカパーなど)のように、見たいヤツだけが料金を払って見る。スクランブル化(注)が急務である……
などと。
だがしかし、――
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NHKはスカパーとは違う。商用サービスではない。放送ビジネスではない。
文明国家たるものが、きっと一つは必要とする「公共放送」なのだ。
国民の統合のためにはなくてはならない、共通の文化を――知識と情報の基盤を提供する。
あるいは政見放送を流したり。子どもたちのための教育番組を作ったり。NHKじゃなくて、一体どこがやるのか?
民放は視聴率と、提携企業の顔色をうかがって、時流にひたすらおもねるだけだ。到底この役割は任せられない。
それはいわば、義務教育の延長だ。学校を卒業した大人たちに、一流国の構成員としての、たえずアップデートした素養を授ける。そんな理念のもとで、すべてが運営されている。
SNSと軽薄短小の民放しか見ない低級な人間は、本来わが国にあってはならない存在なのだ。
「自分は見ないから払いたくない」という理屈は成り立たない。市民の義務なんだから「見るべき」なのだ。
もちろん見なくたって罰則はない。だがその場合も、少なくとも受信料は払う。そうすることで制度を支え続けることに、やぶさかであってはならない。
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たとえば国宝や文化財の保護のために、多額の公金が支出されている。
日本民族の伝統と誇りを守るために、それはなくてはならない事業だからだ。
それなのに、
オレは昔の文化なんか関心がない。
そんなものに大切な税金を使うな。クラウドファンディングか何かで、見たいヤツだけから金を集めればいい。
と主張する者がいるとすれば、非国民のそしりを免れない。あるいはただのバカなのかもしれない。
NHKがやろうとしているのも、それと同じことなのだ。――
あるいは天皇家や皇室の保持のために、気の遠くなるような税金が投入される。これに文句を言う声もあまり聞かない。
日本国の象徴なのだから、いくら金がかかっても守り抜かなくてはいけない。それがコンセンサスになっている。
NHKだって同じことだ。
「受信料は払いたくない」なんてほざいている連中にかぎって、万世一系の皇統を称えるネトウヨだったりする。
だとしたら、彼らの言葉を借りてこう言ってやりたい。
「受信料を払いたくないのなら、この日本から出て行け!」
ってね。
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公金が必要なら税金でまかなえばいい。国営放送にすればいい、と言うかもしれない。
それならばまず、一つ確認しておきたい。
税金に切り替えれば、受信料を払わなくて済む? そんなふうに感じるとしたら、はなはだしい錯覚である。
税金を払うのは、他ならぬ国民自身だ。だとしたら国営にしたところで、われわれの懐から金が出て行くことに、何の変わりもないはずだ。
そのうえ国営放送だと、時の政権とべったりの関係になってしまう。忖度ぐらいならともかく、それこそ「大本営発表」にもなりねない。
民主国家のインフラとしての、公正中立な目配りなど望むべくもない。
歴史的に考えてもそうだ。
NHKの創設当時は、まだ高額だったテレビを買えない世帯も多かった。
広く税金を用いれば、彼らからも放送の費用をふんだくることになる。さすがにそれは気が引けたのだろう。
「テレビなど放送を受信できる設備を設置した者」から料金を集める。そんな現在のやり方は、実はけっこう理にかなっていたのである。
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そもそも「NHKは見ない」なんて言っている連中は、食わず嫌いなんじゃないかな。
お堅い放送局だから、番組もきっとつまらないのだろう、とすっかり決めつけている。
もちろん内容を理解できない、低能者である可能性は排除できない(笑)だがそうでもないかぎり、きわめて良質な文化的娯楽を享受できる。
自分のこのブログなんて、ネタの半分はNHKから拾っている。
試しに以下の人気投稿を読んでごらん。
女子刑務所の「性」事情
続・女子刑務所の「性」事情
実はEテレ(NHK教育)こそが、民放のどんな深夜番組よりも充実した、エロネタの宝庫なのだ。
そのことに誰よりも早く気づいた自分は、つくづく勝ち組だと思う(笑)――
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