< トー横><立ちんぼ> なぜ売春の相手方の男性は処罰されないのか

 少し前に問題になった。
「 トー横キッズ」と呼ばれる10代の少女たちが、大久保公園あたりで「立ちんぼ」をしていると。(注)
 すなわち路上売春である。

 そのとき例によって、フェミニストのオバちゃんたちが噛みついた。
「なぜ売春をすると女性ばかりが責められて、相手となった男性は処罰されないの!?」

 今回はちょっと、そのあたりの論点を整理しておこう。

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 まずは誤解しないでほしい。

 金銭をやりとりして、性的関係を結ぶこと自体は違法ではない。
 たとえば月100万のお手当をもらって、男の愛人となる。世間ではどう呼ぼうと、それは法律の禁止するところの「売春」ではない。

 それはそうだろう
 女は働いた分だけお金をいただく。立派な肉体労働で、何の問題もない。
 男は満足のいくサービスを受けて、お礼に料金を払う。当たり前の消費行動でしかない。

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 売春防止法が禁止するのは、あくまで「不特定多数に」体を売ることだ。
 つまりは取っかえ引っかえ、見ず知らずの男を相手にすることが違法なのだ。  

 そのうえ、興味深いことがある。
 たとえば ソープランドが、売春で摘発をくらったとする。
 違法行為を行った従業員の女の子は、もちろん「指導」はされる。だがけっして、刑罰を課されることはない。
 実際に刑務所送りになるのは、売春を仕切っていた経営者だけなのだ。

 つまりは法律が処罰するのは、売春の「ビジネス」だ。
 手広く客を募って、日常的に金儲けにいそしむような主体を――売春組織の存在を厳しく取り締まっているのだ。

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 考えてみてほしい。犯罪と呼ばれるものには、元来二つの種類がある。
 一つは殺人や窃盗のような、明らかに人倫にもとる罪だ。
 人として絶対にやっちゃいけない。そんな種類の非道な行いである。
 
 これはとってもわかりやすい。だが一方で、もっと微妙な犯罪もある。
 たとえば「公然わいせつ罪」はどうだろう? そもそも人類はサバンナを、素裸で歩き回っていた生き物である。裸体をさらすことが人道に反する、と主張するはどう見ても無理がある。
 ただスッポンポンの異性にウロチョロされては、こちらもそわそわしてしまう。心安らかに日常生活を営めなくなる。
 そのうえ、外人さんが見たらどう思うか? 未開の野蛮人とみなされて、国の恥になる。
 それではさすがにまずいだろう。――というわけで、性器の露出は一応違法ということにした。
 いわばそれは、文明社会の体裁を保つための方便のようなもので、絶対的な道徳上の罪とは違う。

 売春もまた、それと変わらない。公然わいせつと同じ程度の、体面上の罪でしかない。
 誰にも迷惑をかけているわけでもないから、やるなとは言わない。たたちょっとみっともないから、なるべく目立たないように、ひそかにやってくれと。
 大っぴらに、ビジネス展開なんかをされたときには。お上もさすがにもう放っておきませんよ、というわけだ。

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 で、立ちんぼはどうなのかと言うと、――もはやおわかりだろう。

 立ちんぼは、広く声を掛ける。たとえ無言であったとしても、仕草と表情で不特定多数の男を誘う。
 要するに営業をしているわけで、かのソープランドの経営者がやっていることと、その本質は変わらない。ただこちらは、個人事業主だというだけの話だ。 
 だから処罰されるのだ。 

 風紀が損なわれる。男たちが始終発情してしまい、社会の安寧が損なわれる。
 外人さんが見たら、汚らわしい国だと思われる。
 だから取り締まるのだ。
 一方客になる男の方は、そのような罪科には該当しない。ただ女の営業にたぶらかされて、ふらふらと吸い寄せられただけなのだ。

 だから売った女は逮捕され、買った男はお咎めなしとなる。――それはあくまで売春防止法の、本来的な趣旨によるものだ。けっして女性差別などと、呼ばれるような筋合いのものではない。
 それが証拠に、もし男娼に声を掛けられて、女が男を買ったとしたら。今度は男が逮捕され、女はお咎めなしとなる。
 そこにはちゃんと、完璧なまでの対称性が存在する。まるで男女平等のお手本のような、立派な法体系が整備されているのだ(笑)――

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