あまり相撲を知らない人たちは、ついつい勘違いしてしまう。
あんなものは、ただのデブどもが土俵の上で繰り広げる、見世物にすぎないと。
一般の、外の世界では、デブというのはたいてい鈍重である。
巨体を持て余して、運動神経は皆無だから、体重に押しつぶされさえしなければ、喧嘩に勝つのは容易である。
だがまかり間違っても、それをそのまま敷衍して、力士たちに当てはめてはならない。
力士たちの巨体を作り上げているのは、脂肪ではない。少なくとも、贅肉ではない。
あのほとんどは、鍛え上げられた筋肉なのだ。
相撲取りの本質は、分厚い筋の鎧を身にまとった戦闘機械――歩く凶器、ひいては殺人マシーンであるに他ならない(笑)――
*
丸顔はしばしばお人よしで、温和で善良な人間の象徴となる。
だが相撲取りのそれは、肥満と度重なる殴打のために、たまたま顔面が変形したものにすぎない。
持って生まれた悪相は、獰猛な、血に飢えた獣面である(笑)
その素性を、尋ねて見ればわかる。
彼らは全員が、それぞれの中学で、ヤンチャ自慢の荒くれだった。
喧嘩で鳴らして名を上げて、いつしか地域を束ねる、総番長に収まった。
親も教師もさじを投げた。行く末はヤクザになるか、刑務所に行くか――その瀬戸際に現れたのが、相撲部屋のスカウトなのだ。
唯一、喧嘩でメシを食っていけるところがある。万一土俵で人を殺しても、別に罪には問われない。
そう誘われて飛び込んだのが、あのちょんまげの世界なのだ。
いわば本来なら道を踏み外し、真っ当に世間を渡れないような野蛮な人種が、かろうじて力士という職業に身をやつす。――そんな世にもおそろしい、舞台裏の構造が隠れている。
*
最初は傲然と入門した、やんちゃ坊主の鼻っ柱は、だがしかしたちまちへし折られる。
天下無双だったはずの自分の喧嘩が、そこでは赤子の手をひねるように、軽くあしらわれる。
それはそうだろう。
部屋で待ち構えていたのは、もはや「ヒト」ではない、化け物ばかりだった。
全員が、自分と同じ出自を持つ。いわば札付きの狂犬だけがそこに集められ、365日、5年、10年とひたすら格闘の修行に明け暮れる。
いかにして相手を、二度と立ち上がれないほど、完膚なきまでに叩きのめすか。――
ついでに体格も常人の2倍、3倍の、怪物級に増量される。
そうして今では、素手だけでたちどころに人を殺せる、妖異の姿に変化(へんげ)したのだ。
今の時代はもはやNGとなったが、かつての相撲部屋の「かわいがり」(=シゴキと称する私的リンチ)は凄惨をきわめた。
一例を挙げれば、鉄アレイで顔面を殴打する。文字通り、鼻っ柱をへし折るのだ。
一般人なら間違いなく落命する。力士の中でも、幾度か悲劇はあった。(注)
いわば鉄アレイの嵐に耐え、生き残った者だけが、大相撲の土俵に上がることができるのだ。
*
相撲の取り組みで死者が出ないのは、互いに命を削ることがないように、ある程度手加減しているからだ。(注)
またそれ以上に、相手もまた戦闘マシーンであり、怪物だからに他ならない。
これが一般人相手だったら。たとえ力士がどんなに力を抜いても、軽く張り手をかましただけでも、きっと即死してしまう。――
そんな力士という存在の 世にもおそろしい本質を、ゆめゆめ忘れてはならない
かつて大相撲のある横綱が、六本木のクラブで泥酔して、もめ事を起こした。
相手は〇〇連合という、悪名高き半グレ集団の、リーダーである。
裏社会の彼らもまたある意味、喧嘩でメシを食っている、腕自慢の連中だ。
テレビの見世物に、毎日出演しているただのデブに、負けるはずはない。そう勘違いして、喧嘩を売ってしまったらしい。
結果は言うまでもない。
たちまち半殺しにされて、命からがら警察に泣きついた。
事が知られて、一般人(笑)を殴った罪で、横綱は29才の若さで引退に追い込まれ、そのままモンゴルに(笑)帰ってしまった。
*
ドルジもドルジだが(笑)、反グレの方も、あまりに世間を知らなすぎた。
力士という怪物の、ましてやその中の横綱という恐怖の存在の、何たるかを理解しておくべきだった。
意気がって命知らずの対戦を挑む前に、あらかじめちゃんと、このブログを読んでおくべきだったのだ(笑)――
<恐怖の相撲界> 鉄アレイで顔面をぶん殴る
未分類
コメント