最近SNSで、こんな投稿が話題になった。(注)
マクドナルドで、商品ができあがるまでの待ち時間にペットボトルの水を飲んでいた。
すると店員から『持ち込みは禁止です』と強い注意を受けた。
例によって無数のコメントが寄せられた中で、飲食店勤務だというある人物が、こう解説してみせた。
私の店でもやはり、飲食物の持ち込みは禁止にしています。
食中毒が起きた際に、店の責任かどうかを明らかにする必要があるからです。
この見事な鶴の一声で、それまでの賛否両論はぴたりと収まった。
「なるほど、そういう理由だったんですね」「気がつきませんでした。やっと腑に落ちました」
と、納得と感心の声がしきりだったという。
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だがしかし、――
上記の「理由」なるものは、論理的に完全に破綻している。
それはそうだろう。
食中毒の原因となる事態がいつ発生したか。それを分単位で特定することなど、初めから不可能なのだ。
マクドナルドの店内での飲食のせいなのか。それとも入店30分前に口にした、水に問題があったのか。あるいは退店直後に噛んだガムが悪いのか。そんな区別ができるはずがないだろう。
もし店の責任でないことを「時刻」を根拠に証明したいなら。
「来店の前後半日は、一切飲食を控えてください」
と通達を出すしかない(笑)
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持ち込み禁止の本当の理由は、もちろんもっと単純な、ビジネスの問題である。
極端な事例を考えてみるといい。
たとえば4人組の女子高生が、母親の手作り弁当を持ち込んで来店する。一切注文もせずに、テーブルを一時間占拠して、弁当をパクついて帰る。
つまりは店を、単なる談話室代わりに使った――というのでは商売にならないだろう。
そんなトンデモない連中だけを取り締まればいい、というわけにはいかない。どこまでの持ち込みを認めるか、厳密な線引きが不可能な以上、全面禁止のルールを徹底するしかないわけだ。
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それが本当の理由である。
もちろん誰も、文句の付けようがない。飲食店だって営利企業である以上、当然すぎるほど当然の判断なのだ。
だがお店の側は、この本当の理由をけっして口にしない
日本人というものはなぜか、ビジネスライクな話を身もふたもないと嫌う。もっと聞えのいい、金銭以外の「建前」はないものか――というので編み出されたのが、例の「食中毒論」なのだ。
客から持ち込み禁止の理由を問われたら、そう答えるようにと、きっと口裏合わせのマニュアルができている。
それがどんなに矛盾だらけの説明だろうと、頭の悪い消費者なんてどうせ気づきはしないさ、というわけだ。
そして実際、上記の通り。
こんな子供だましの屁理屈に、みんなコロリとやられてしまったわけだから、ただただ笑うしかない。――
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