株は安いときに買って、高いときに売れば必ずもうかる。
だが、それはいつなのか?
「高いとき」は別に、わからなくてもいい。買った値段よりそこそこ上がっていれば、売ってもうけることができるわけだから。
だが「安いとき」をどう判断するのか?
いろいろな指標が推奨されているが、どれも絶対視はできない。
だが自分は知っている。
何の専門知識もいらない。しろうとの初心者でも簡単に実践できる、間違いのない安値の判別法がある。
それはこういうものだ。
――大新聞の一面の大見出しに、「世界同時株安」の文字が並んだら、そのときが「底値」である。
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ここで言う「大新聞」とは、たとえば朝日新聞のような、全国区の一般紙である。
経済や投資の専門誌ではない。
朝日新聞でも、10面あたりには「経済面」が存在する。そこでは毎日の株価が掲載され、論評も加えられる。
だが一面記事に株価が顔を出すことは、まずありえない。そこは政治記事と社会記事の聖域であって、株屋どもの銭儲けの一喜一憂に、関知すべきではないとされているのだ。
だがその一面に、数年に一回、株の記事が載ることがある。
それはもはや看過できない、大事件が起きているからだ。社会をひっくり返すような天変地異が、日本経済に襲い掛かっているのにちがいない。
たとえば隣の家に、ボヤが起きたとしよう。鼻の利く人なら「あれ? 何か変なにおいがしない?」とすぐに感づいてくれる。
だが副鼻腔炎か何かで、嗅覚がすっかり鈍っている人はそうはいかない。まるで知らぬ存ぜぬだ。
万一、その鼻詰まり野郎が異臭に気が付いたころには、――隣の家はもうすっかり焼け落ちて、手遅れになっているのにちがいない。
朝日新聞の一面記事も、そういうものだ。そこに株安の見出しが登場したころには、株価はもうすっかり焼け落ちている。いまさらもう、手の施しようのない段階まで行き着いてしまっているのだ。
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焼け落ちたら大災害じゃないか、と思うかもしれない。
だけど冷静に考えてほしい。
焼け落ちたと言うことは、もはやそれ以上、燃え広がることはないということだ。今が悲運の「底」なのだ。
もはやその下はない。あとは昔、数学で習った下に凸のグラフのように、ただ上昇の一途をたどるだけだ。
それに焼け落ちて困っているのは、あくまでも隣の家のオヤジだ(笑)
あなたがそれまで、株に手を出していなかった以上、痛くもかゆくもない。むしろ今が、投資のチャンスなのだ。
火災保険も掛けずに家を失って、途方に暮れている隣のオヤジから、跡地を二束三文の底値で買い叩けばいい(笑)
底値と言っても、一時的にはその数値を、株価が下回ることもある。
だが慌ててはいけない。
安値なんだから、数か月もしないうちに、元値は回復するだろう。そのあと2倍とは言わないまでも、1.5倍くらいに株価が上昇するのに、そんなに長い年月は要さないだろう。
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大新聞の一面の大見出しに、「世界同時株安」の文字が並んだら、そのときが「底値」である。――
だがこの格言には、そのまま裏返した、もう一つの格言が対応する。
つまりは大新聞の一面の大見出しに、「世界同時株高」の文字が並んだら、そのときが「天井」である。
もはやそれ以上の上昇は見込み薄で、あとは下落を待つばかりなのだ。
つい数か月前、この文字列が新聞に現れた。
ここあたり(日経平均4万1000円)が株価のピークだ、とすぐにわかった。
売り時である。少なくとも、けっして買ってはならない。
だが格言を知らない初心者の面々は、新NISA だかなんだかにあおられて、ずいぶん手を出したらしい。そんなに上がっているのなら、自分も買ってみよう、と。
するとそれから何か月もしないうちに、絵に描いたように株価は暴落してしまった。(日経平均3万1000円)
ふつうは下がると言っても、こんなに急には崩れないものだが、まあそういうこともある(笑)
これが安値で買った場合なら、じっくり持ち続けていれば、早晩値段は戻る。だが高値掴みの場合は、そうはいかない。
参考までに。日経平均が前回のバブルの最高値(3万8915円87銭)を回復するまでには、実に34年の歳月が流れたのである。
それならどうしたらいいのか、と聞かれても返す言葉はない。
せいぜいこう言って、慰めるしかない。
――みなさん、どうもご愁傷様。
うーん、つける薬はありませんね。申し訳ありませんが、他の薬局を当たってみてください(笑)
(話は次回に続く)
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