<万国の下級国民よ団結せよ(1)>
その昔、マルクス主義というものが流行っていた。
様々なたわごとをまき散らしていたが、たった一つだけ正論と思しきものがあった。
歴史や社会を、支配者と被支配者の対立構造で分析していたのだ。
まさかこの民主主義の時代に、支配者なんていないだろう。「ブルジョアとプロレタリアート」なんて、どう見てももう死語だ――と笑う者もあるかもしれない。
だがもしこの古語を、現代語に置き換えたらどうだろう?
「上級国民と下級国民」の緊張関係で、世の中は展開しているのだ、と。
*
わが国にも、年収が数千万というような上級国民が、人口の1割程度存在する。
なんとキミたち下級国民の、所得の10倍である(笑)
じゃあその金持ちたちは、キミたちの10倍も働き続けているのか? もちろん、そんなことはない。
食うや食わずで、汗水たらして働くのは貧乏人ばかりだ。あいつらは六本木ヒルズの、社長室でふんぞり返って、美人秘書の尻を撫で回しているだけなのだ(←さすがにそれはない 笑)
彼らには10倍の知能と、才覚があるのか? そんなはずはない。IQが高いと言ったって、せいぜいキミたちの2倍どまりだろう(笑)
では彼らが享受する富は、一体どこに由来するのか?
言うまでもなく、すべては働きアリの下級国民が、必死に作り出した生産物だ。
本来はキミたちの懐に入るべき所得を、巧妙な社会の仕組みによって、彼らが盗み取っている。
彼らが「搾取」した――下級国民はすっかり「搾り取られ」た。
だからキミたち有象無象は、いつでもそんなに心身ともに、スカスカになっているのだ(笑)
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つまりはマルクスの言う通り、隠れた支配と隷属の関係が、そこには確かに存在する。だだふだんは誰も、それに気がついていないだけなのだ。
「隠れた」というのは、あくまでも言葉のあやだ。厳密にはそれは「隠され」ている。
そんな不都合な真実が、もし下級国民の多くに知れ渡ったら、反乱が起きる。社会の安定が損なわれる。
そんなことにならないように、支配者たちは嘘っぱちのきれいごとを流布して、目くらましをする。
マルクスの教えはすっかり忘れられた。日本共産党は道化になった。
だがそれは、自然消滅したのとは違う。
きっと洗脳という名の焚書坑儒によって、いつしかこっそり闇に葬られたのだ。
*
代わりにただおめでたい幻想が、ばらまかれる。
小学校で人権と、民主主義を教える。平和と平等という、おとぎ話を信じ込む。
金持ちと貧乏人の区別も忘れて。みんな同じ日本人じゃあないかというので、仲良しになって肩を組む。
一緒にニッポン・チャチャチャを叫び、金メダルを取れば、抱き合って涙を流す。
だがしかし、キミたちは気が付かない。そうして肩を抱きながら、彼らは心の中で、舌を出して嘲っている。
頭が悪いうえにお人よしの、この下級国民の奴隷どもは、安物のスマホさえ与えておけば、文句は言わない。
あるいはオリンピックの、感動ポルノにひたりきる。あるいはSNSの、一言一句に気を取られて。難しいことなど何も考えない。
世の中の仕組みの、矛盾も不条理もどこ吹く風で。
明日からはまた、つゆ疑うことなく貢ぎ続ける。その牛馬のごとき永遠の労役を、はたし続けるにちがいないのだ。――
(話は次回に続く)
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