もっとも保守的である意外な人々

 不幸な境遇にある人は変化を望む、と誰しも思う。

 選挙に行くことがあれば、きっと野党に投票するだろうな。
 革命が起きれば、きっと一緒に立ち上がるだろうな、と。

 だがそれは、中途半端に不幸な人間の場合である。
 とことん虐げられた人々は、けっして変化を望まない。かえって保守的になる。

     *

 それはそうだろう。
 彼らは生まれてこの方、幸福なんて一度も経験したことがない。
 変化と言えば、ただ「より悪くなる」変化しか知らないのだ。

 変化することで、自分たちの現状が今よりまし・・になる――そういう当たり前のイメージを、思い描くことができない。
 それだったら、今のままがいい。
 今はまだ、少なくとも死んではいない。命を失くしてはいないわけだから、けっして最悪ではないはずだ。彼らはそう考える。

 今のこの不幸なら。
 その中でどう立ち回れば、とりあえず明日のかてにありつけるか、それがわかっている。
 彼らにはこのおなじみの不幸の方が、見ず知らぬ新しい不幸よりも、やさしいものに感じられるのだ。

     *

 はてしない諦念と、無気力が彼らを支配する。

 改革を説き、革命を叫ぶ人々を見ると、ただ不思議そうに眺めている。
 みんなずいぶん元気だな。きっと、お腹が減ってないんだろうな。

 まるで幸せな人を、うらやむような視線で。ただいつまでも、じっと見つめているのだ。……

     

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