日本をブチ壊して勲章もらった日銀総裁(1)

 銀行に預けておけば、利息がつくから貯金する。
 金利が低くなれば――少なくともゼロになれば、もう利息はつかないから馬鹿らしくなって、もう誰も貯金なんかしない。

 その分のお金は、きっと消費に回すだろう。
 国民はもっとお金を使うようになる。そうすると需要が増えるから、物もサービスも売れて、景気がよくなる。だから給料も増えて、経済が回り出す。

 それにつれて物価も上がるが、みんなの所得が増えて物を欲しがった結果だから、それは好ましい物価上昇なのだ。

     * 

 これが経済の教科書の説明だ。
 歴代の日銀総裁はこの理屈を、そっくりそのまま日本経済に当てはめた。
 とりわけ2013年に就任した黒田総裁は、他の金融緩和策とパッケージにすることで、この低金利策を強力に押し進めた。
「ゼロ金利」「マイナス金利」だ。もちろん個人の預金レベルではマイナス金利にはならないが、かぎりなくゼロに近い数字だったことは記憶に新しい。
 この政策によって、2年以内に景気を2%浮揚させる(物価を2%上昇させる)とぶちあげて、華々しく総裁デビューをはたしたわけだ。

 だが結果はどうだ。2年はおろか10年たっても、目標は達せなかった。
 誰がどうみたって政策の失敗なのに、黒田は全部偶発的な外部要因のせいにして、反省の弁もない。
 木で鼻をくくったような答弁をするだけで、 辞任もしなければ、給与返上もしない。

 安倍政権以来の、強弁政治をまねている。非は自ら認めなければ非とはならない、という得体の知れない処世訓で、生きている男なのだ。
 民間企業ならとっくに解任されているところなのに、そうして開き直ったまま、10年の任期を満了した。たんまり退職金もせしめた。そのうえこの間なんて、勲章(瑞宝大綬章 )までもらっていたんだから呆れて物も言えない。(注)
 悪い冗談だ。日本経済をあれほどめちゃくちゃにしておきながら、のこのこ皇居の授与式に出かけていくとは、厚顔無恥にもほどがあるだろう。

     *

 日銀は一体、何を読み間違えたのか?
 彼らはただ机上の空論を語るばかりで、国民生活の実態が、まったく見えていなかった。
 つましく日々を送る一般庶民の、メンタリティーが理解できない。ましてや追い詰められた貧困層の、窮状には想像が及ばなかった。

 金利が低くなれば、もう誰も貯金なんかしない。その分のお金は、きっと消費に回すだろう?――冗談じゃない。我々のような下々しもじもの人間は、まさかそんなふうには考えない。
 我々はただ、こう考える。
 銀行に預けても利息がつかないような、そんな厳しい時代になったのだ。だったらもっともっと節約して、将来に備えて貯金をしなくては。――

 もちろん金利は高い方がいいが、別に利息が欲しくて、貯金しているわけではない。来るかもしれないおそろしい未来のための、自己防衛なのだ。
 だとしたらお金の余裕がれば、たとえ利息がゼロだって貯めておきたい。浮いた分のお金はぱっと使ってしまおう、なんていう発想はない。
 だから個人消費は上向かない。少しでも安い物を探して、ディスカウントストアを駆けずり回る。そんなデフレ経済が延々と続いたのだ。
 もちろんそんなことでは、景気なんて上向くはずはない。――

 そんな国民の感性が、彼ら政策立案者には理解できなかった。
 何千万もの年収をもらって、総裁の椅子にふんぞり返っている上流国民には、あまりに遠い世界の出来事なのだ。

 国民個人だけではない。同じ勘違いは、企業レベルにおいても起こっていた。
 金利がゼロになれば、企業は銀行からお金を借りやすくなる。だから積極的に設備投資をして、経済は拡大するだろう。――そんな教科書の予言は実現しなかった。
 企業もまた来るべき冬の時代に備えて、ひたすら支出を抑えた。借り入れするなんてとんでもない。黒字でたんまり利益を上げた企業ですら、内部留保の形でため込んだまま、攻めの経営のために回すことはなかった。
 もちろんそんなことでは、景気なんて上向くはずはない。――

     *

(話は次回に続く)

          

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