恋をしているさ中には、愛は永遠に続くと勘違いする。
永遠と思えなければ、そもそも恋愛感情なんて生まれてこないのだから当たり前だ。
そんな錯覚にたばかられて、二の腕に「裕くん命(ゆうくんいのち)」とタトゥーを彫る。
それから十年、二十年経って「裕君って誰だっけ?」というころになっても、腕の彫り物だけが永遠の愛を誓い続けているのだ(笑)
実物の入れ墨ならまだ救いがある。
これがデジタルタトゥー(注)となれば、もはやシャツで隠しようもないから始末に負えない。
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彼氏が彼女にベッドでカメラを向ける。写真やら動画やらを撮ろうとする。
女の子もむきになって抵抗したりはしない。
ずいぶん無防備だ、と思うかもしれない。だが二人の関係が永遠に続くという前提があれば、それはそうではない。
裸の写真もただ、思い出のアルバムに飾られるだけだ。他の誰にも見られる心配はない。
むしろそうして、お互いだけの秘密を共有することで、ラブゲームの愉しみを増す小道具ともなる。
だが実際には、たいてい関係はいつか破綻する。
そのとき男が恨みを抱けば、写真はリベンジポルノ(注)となる。そうでなくとも、小遣い稼ぎに女優の裸を売り渡す者もいる。
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森〇博子というタレントがいる。
最近はあまり見かけないが、かつてはテレビのバラエティー番組に出ずっぱりだった。
かなり前に、彼女の裸の動画がネットに流出していた。
おそらくは一戦を交えた後の、ホテルでシャワーを浴びている。
そこにこっそり、男が近づいてカメラを向ける。
それに気づいた森〇が「あー、びっくりした」と声を上げる。特に撮影に抗議をするでもなく、安心しきって笑っている。
その一瞬だけのショート動画だ。それでも一糸まとわぬ森〇の、意外なまでの巨乳を拝むことができた。
容姿だけなら、他人の空似ということもある。そっくりさんを使った、ニセ動画かもしれない。
だが声と口調を合わせれば、本人鑑定は万全である。
「あー、びっくりした」の変にたどたどしい、舌足らずの発声は、テレビ番組でさんざん聞かされたものと何一つ変わりがなかった。
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森〇博子と言えば、なかなか結婚しないタレントとして有名だった。
その理由も、いろいろと取りざたされた。
例によってレズビアン説もあれば、親思いだから、なんていう浪花節も聞かれた。
だがこの動画を見た瞬間、本当の理由がわかった。
ある哲学者は「人は性欲がなくなると結婚する」と言った。言い得て妙である。
とっかえひっかえ相手を変えて楽しめるうちは、そのまま自由でいたい。結婚して恋愛引退、なんていうのはあまりにも味気ないだろう。
森〇もその恋愛事情は、かくのごとくお盛んだった。だとしたら「そろそろ年貢を納める」気になんて、なかなかなれなかった、というわけだ。
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もっとも動画の流出はもう20年近くも前だ。
それから森〇も、もうけっこうな年齢(57歳)になっている。
今ではもう、アッチの方は枯れているのか。すっかり乾ききっているのか。もちろん知るよしもない。
ただ、いまだに独身であることだけは、さっきウィキペディアで確認したばかりなので間違いがない(笑)――
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