<機械が相手なら恥ずかしくないと思ったら>
サラ金に「無人契約機」というものがある。
書類の審査から契約、カードの発行までを機械が行う。人間相手の、対面のやりとりは一切不要である。
金を借りる側から見ると、これが大変ありがたい。
それはそうだろう。借金するほど貧しいというのは、やはり恥だと感じる。ましてその原因がギャンブルだったり、酒だったりすれば、絶対に人に知られたくはない。
たとえ相手がプロのコンサルタントだったとしても、内心では見下されているのではないかと不安になる。
その点機械が相手なら安心だ――というので、敷居が低くなる。実際、この契約機を設置した店舗の売り上げは倍増するという。
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だがしかし、だまされてはいけない。あれは本当は、機械ではない。
ただオペレーター室にいる社員が、機械の画面越しに、遠隔で対応している。
契約用のブースには、何台ものテレビカメラが設置されていて、客の挙動も逐一観察している。
何のことはない、対面での契約とその本質は何も変わらない。
ただ客の羞恥心を取り除くために、人間が機械のふりをしている。まるで幼稚園のお遊戯会みたいな、子供だましのお芝居なのだ(笑)
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それどころか、ある意味ではこちらの方が、対面よりたちが悪い。
それはそうだろう。
あちらからこちらは見えていても、こちらからあちらの様子を窺うことはできない。それをいいことに、悪乗りしたオペレーターが、客を散々こき下ろしている。
お前は確か、先月も来てたよな。何度来たって、お前みたいなコ〇キに、金なんか貸すわけねーだろう。その辺の路地で、シケモクでも拾ってろよ。ハハハ。
みたいに。
今回はご融資を見送らせていただきます――契約機の画面に表示される、そんな慇懃なメッセージの向こうでは、いつでもそんな罵詈雑言が浴びせられているのだ(笑)
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<追記>
それはちょうど職員室の予備校講師が、陰で好き放題、生徒を笑い物にしているように(笑)
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<安心して万引きできないドン・キホーテ>
自宅から2キロほどのところに、ドン・キホーテがある。
少しでも安い買い物をしようと、ときどき自転車で遠征する。
店内に頻繁にアナウンスが流れる。
――当店では万引き等の不正行為を発見した場合は、すべて警察に通報しております。
まあ確かに、こういう業態だとさぞ被害も多いだろうな、と同情する。
だがアナウンスの続きを聞いて、思わず吹き出してしまった。
――当店では万引き等の不正行為を発見した場合は、すべて警察に通報しております。安心してお買い回りください。
なんでこんな、取ってつけたようなセリフを加えたのか。
理由は簡単だ。
「通報しております」だけで終えてしまっては、まるで客を泥棒扱いしているようで印象が悪い。そこで「犯罪行為のない安全な店なので、一般のお客様はご安心ください」と言い添えたわけだ。
だがそれも、ずいぶんと無理筋な理屈である。別に万引き犯がいたって、一般客の身に危険が及ぶわけではない。安心もへったくれもないはずだ。
ついつい心の中で、
「すべて通報すると言われちゃあ、安心して万引きができないじゃないか」
とツッコミを入れたくなるところである(笑)
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< 瞳の中に棲んでいる愛しいヤツ>
「瞳」を英語で何と言うか。
答えは pupil である。
どこかで聞いたことがあると思うだろう。
もちろん、小学生のような「児童」も pupil と言う。語源が同じなのだ。
誰かの瞳をのぞき込めば、そこにこちらの自分の姿が映り込む。
それがまるで可愛らしい小人が、目の中に棲んでいるように見える。それが「童(pupil)」なのだ。
可愛らしい――もちろん小さい物は、遠目には何でも可愛く見える。
だがよくよく子細に観察すれば。
それはかぎりなく縮尺を小さくしただけで、姿も形もこっち側のエロおやじと、そっくりだったりするわけだ(笑)
<追記-1>
漢字の「瞳」も、「目」と「童」の合成であることに注目されたい。
<追記-2>
関係ないけど、ラブソングの歌詞によく「瞳を閉じる」が出てくる。あれほど笑止な誤用はない。
「目を閉じる」を詩的に表現するなら「眼(まなこ)を閉じる」が正しい。
「瞳」はすなわち瞳孔であり、眼球の中心で伸び縮みして光量を調節する。
「瞳を閉じる」の歌を聞くたびに。「おまえはネコか!」とツッコミを入れたくなるのが、教養人の常なのである(笑)

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