<世界同時株安>「驚異の安売り」はなぜ起きたか

(話は前回に続く)

 よくテレビで「奇跡の安売り店」みたいなものが、紹介されることがある。
 定価1000円の商品が、100円で売られているような話だ。
 あんな値段で売って、何で商売になるのか? もちろん、盗品故買でないかぎり、それよりさらに安く仕入れているからだ。

 それでは何で、そんな仕入れが可能なのか?

     *

 たとえばある会社のある商品が、まったく売れなかったとしよう。
 売れ残りの大量の在庫を、そのまま持ち続ければ保管費用ばかりがかかっていく。
 それならいっそ、捨ててしまいたい。あるいは二束三文でいいので、持って行ってくれる親切なお方はいないか?

 そんな社長の窮状を聞きつけて、ハイエナのような買取業者が現れる。
 1個10円で倉庫ごと買い上げる。それを安売りショップで100円で売りまくるわけだ。

 この手の案件は、企業倒産の際にもっとも顕著に現れる。何しろ会社がつぶれるのだから、在庫の処分は当然である。
 そのうえ債権者たちは、たとえ少しでも借金を回収しようと、現金化を迫るからだ。
 換金売りの緊急性が、1000円が100円になるような、驚異の安売りを招く。

 この手の商品を、俗に「バッタもん」と呼ぶ。
 物が倒れるときには、「バタッ」と音がする。いろんな会社が「バッタ、バッタ」と、次々倒産する。
 それが「バッタもん」の語源だと言わている(笑)

     *

 さて前回投稿の、「世界同時株安」のときにも、同じような現象が起きる。
 換金売りの緊急性が、株価の異常値をつける。

 もちろん一般の投資家は、売り急ぐ必要はない。
 損をして安値で売るよりは、いつの日か株価が回復するのを待って持ち続ける。いわゆる「塩漬けにする」というやつだ。

 ところが変にセミプロを気取って、「信用取引」を手掛けているヤツらがいる。要するに証券会社から資金を借りて、本来の資力以上の株を買っているわけだ。
 その場合、株価が暴落すると証券会社が動く。客が破産すると、借金を回収できなくなる。そんなことにならないうちに早めに、強制的に客の株を売却してしまうのだ。

 さらに本当のプロの「機関投資家」の場合も、同様である。詳細は割愛するが、一定の条件の下では彼らもまたすべての持ち株を売却して、現金に戻すことを強いられるのだ。
 そんなときに「投げ売り」が起きる。
 それは「いくらで売る」という世界ではない。値段はいくらでもいいから、今日中に売る。今すぐ売り切る。
 すべてのプロとセミプロが、「いくらでもいいから」という売り注文(=成り行き売り)を出す。
 ほとんど買い手のいない状況では、値段はどんどん切り下がっていく。「競り上げる」の反対の、「競り下げる」という状態に至るのだ。

     *

 その結果、常識では考えられないような、異常な安値が出現する。
 さすがに「1000円が100円」ということはないが、似たような叩き売りが目撃される。

 私見では、現在の日経平均の実力は3万6000円だろう。
 4万2000円というのはいかにも過大評価だが、3万1000円もふつうなら考えられない。
 少なくとも、半月で4万2000円→3万1000円という急落は、不条理以外の何物でもない。
 あそこはどう見ても、買い場だったはずだ。

 一流の相場師なら、4万2000円で売って3万1000円で買う。二流の相場師は、4万2000円では買いを見送って、3万1000円で買う。
「貯蓄から投資へ」の掛け声に釣られて4万2000円で買い、3万1000円であわてて売りに出したとしたら。
 初心者だから致し方がないとしても、いかにも筋が悪すぎた。
 きっと不治の病を患っている。「死ななきゃ治らない」というわけだ(笑)

コメント

タイトルとURLをコピーしました