嘘つきの天才―「不思議の巨乳ちゃん」

(話は前回から続く)

 かつて小保〇晴子という人物がいた。

 分類上は一応、一般人らしいので伏字にしておく。リンクも張らないが、10年ほど前、
STAPスタップ細胞はあります」
で有名になったあの方である。

 その大噓で、世間をさんざん振り回したのはご記憶だろう。 

     *

 彼女の高校時代のエピソードがおもしろい。
 なんでも女生徒グループのぶっちゃけ話で、突然、
「私、○○君と付き合っているんだ」
と言い出した。○○君とはクラスで一番カッコいい男子で、女生徒みんなのあこがれの的だ。

 のみならず、このあいだ彼の家に遊びに行ったら間取りはこうだった、家具はあれがあったと、事細かに報告する。
 それを聞いて驚いた女友達が、後日○○君に直接問いただすと、付き合ってなどいない、ウチに上げたことも一度もない、とにべもなく否定された。
 あっけなく嘘がばれてしまった。

 それでも高校時代の小保〇さんは、少しもめげない。
 それからほどなく、まだ事件のほとぼりも醒めぬうちに。また女生徒グループのぶっちゃけ話で、突然、
「私、△△君と付き合っているんだ」
と今度はクラスで2番目にカッコいい男子を挙げて、交際を吹聴したというのだ(笑)
 またしても部屋の間取りと家具の種類を、滔々と語り出したのは言うまでもない。――

     *

 こうなるともはや、悪意があって嘘をついているとは思えない。
 自分の紡いだ物語の世界に、うっとりとひたりきっている、夢見る少女のようだ。
 周囲からも、嫌われるとか、煙たがられるというのとは違う。ただ異星人のように扱われて、むしろ面白がられていたらしい。
 それかあらぬか、そんな彼女の当時のあだ名は「不思議の巨乳ちゃん」だったという(笑)

 三つ子の魂百までと言うが、さすれば「STAP細胞はあります」の素地は、当時からもうすでに十分備わっていたわけだ。――
 だがしかし、けっして彼女を非難しているわけではない。虚言癖とはそういうものなのだ。
 嘘をついている意識はない。少なくとも話している当座は、自分の紡ぎ出す物語を信じ切っている。虚構の世界にどっぷり入り込んで、その主人公になり切っている。

 そしてまた、小保〇さんだけが特殊なわけではない。
 女とはえてして、そういうものなのだ。むしろ彼女はその典型だった。女の中の女なのだ。
 すべての女性はその内側に、多少の小保〇さんを併せ持っている。――

 というのが、思い切りジェンダーバイアスな自分の持論なのだ(笑)……

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